ここではメロディに関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。
こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。
取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります
『ポピュラー音楽作曲のための旋律法 増補版』高山博著
本のタイトルからもわかる通り、「旋律(メロディ)」に焦点をあてた作曲本です。
かなりのボリューム(300ページ超)があり、定価2970円は安いと思います。
※絶版になっていましたが、「増補版」として新たに出版されました
見た目・内容ともに学生時代の教科書のようです。譜例サンプルはmp3でダウンロードできますので、目と耳で確認ができます。
この本は旋律を中心とした音楽理論書というイメージがしました。メロディだけでなく、コードやリズム、スケール、歌詞という視点から旋律についてみていくという感じです。
ただ、あまり音楽理論について知識がない人には、難しい内容だと思います。この本で音楽理論を学べるということではないので、まずはこの本を理解するための前知識を入れておくべきだと思います。
つまり、何も知らない人がいいメロディを作りたいからといって、手を出すべきではないです。
あまりに深い内容のため、「じゃあ、結局どうしたらいいの?」ということになってしまうので、ある程度使える知識だけを自分で取捨選択して、自分の作曲に生かしていくようにしたほうがいいでしょう。
個人的に、メロディは自分なりの心地よさを追求するもので、あまり理屈先行で作るものではないと思っています。ですので、理屈を勉強するよりは実際に音楽を聴いて、自分なりの心地よさを身に付ける方を優先するのがベストといえます。
そういったことについては下記をご参考にしていただければと思います。
『作曲非常口』村井俊夫著
「平凡な私達のためのメロディー技法」という副題が付いているように、メロディが浮かばないという方のために書かれた本です。
具体的には、直観に頼らない理論によるメロディ作り、理論を駆使したメロディ作りに特化しています。
「理論」というと固いイメージがありますので、「傾向」と置き換えてもいいかもしれません。つまり、メロディにもコードと同様、良く聴こえさせるための傾向というのが存在します。
「こうなったら、次はこうした方が良い」というなんとなくのラインというのがあります。
この本では、コードトーン(安定)とノンコードトーン(緊張)の特徴的な動きを元に、メロディを理論的に作り上げていくという手法をとっています。
ただ、一ついえることは、この方法がメロディ作りのすべてではありません。メロディはやはり自分なりの心地よさ(感性)を優先させて作るのが自然です。
こちらに書かれている方法は、感性ではどうにもならない最終的な判断として作り方というイメージでとらえておいた方が良さそうです。
また、ある程度コード理論についての知識がないと理解するのは難しい内容です。まずはコード理論について学習しましょう。
『ピアニストのためのスケール&ソロ・フレーズ』堀越昭宏著
メロディやフレーズ作りには、元になる「スケール」の知識が必要になります。なぜなら、メロディやフレーズは基本的に「スケール」の枠内で動くものだからです。
「スケール」というと、メジャースケールやマイナースケールが浮かびますが、音楽にはそれ以外にも多種多様あります。
つまり色んなスケールを知っておけば、それだけ幅の広いメロディやフレーズが作れるというわけです。
一般的なアイオニアンスケールやドリアンスケールなどの「ダイアトニックスケール」を中心に、ブルース系スケールやジャズ系スケールなども掲載されています。
各スケールには、そのスケールを使ったサンプルフレーズが載っているので、十分に参考になるのではないでしょうか?もちろんCDも付いていますので、耳でも確認できます。
スケールって苦手という方は多いと思いますが、この本ではスケールを仲間分けしているので、一つの固まりとしてスケールを理解することができます。
スケールの知識はアドリブでも生かされるので、学習しておく価値は十分にあります。
『実践!やさしく学べるポピュラー対位法』彦坂恭人著
難しいイメージのある「対位法」をわかりやすく、噛み砕いて説明された内容です。
「対位法」についてレッスンする作曲スクールは少ないです。
作曲スクールで「対位法」がレッスンされない理由は主に、「対位法を知らなくても作曲できる」という点にあると思います。
「対位法」というのは簡単に言うと、あるメロディに別のメロディをどうやって加えていくとうまく調和するのかを追求する音楽理論です。
メロディをコードで装飾するという技法(和声法)は、実は音楽の中で歴史が浅いです。もともとは「対位法」が主流でした。
ただ、「コード」という概念が誕生した後、そういった技法はやや古くなってしまい今に至っています。
今現在で対位法が活躍するのは、ストリングスなどで対旋律(カウンターパート)を作る場合や、ベースパートを作る場合にほとんど限られています。
この本の中では実際に、このメロディにはどんな対旋律が付けられるかのエクササイズがあります。
模範解答もありますので、それを参考に対旋律についてわかってくるのではないでしょうか?
しかし、対位法についてはかなり厳格な決まりが多く、知ったことによって逆に音楽が作りにくく感じてしまうことがありますので、ポピュラー音楽の場合はあまり過度に対位法を意識しない方が良いでしょう。