作曲初心者

作曲はメロディが先かコード進行が先か? ー 初心者におすすめなのは『コード進行が先』です

2022年7月28日

メロディ先かコード進行先か?

「作曲」と聴いて思い浮かぶのは、『メロディを作ること』というイメージを持っておられる方が多いと思います。ですので、作曲はメロディから作るべきという風に考えておられる方も多いはずです。

音楽系の雑誌に出てくるクリエイターの方も「思い浮かんだメロディをiPhoneに録音して、あとで制作する」などと書かれていることもよくあるので、なお一層作曲はメロディから作るべきと思われるかもしれません。

ただ、メロディから作曲するというのは、個人的な経験上、相当の作曲経験か楽器経験がないと難しいものだと思っています。
※何十曲・何百曲も作られているクリエイターの方の意見を、初心者の方にそのまま適用できません

そのため、当スクールのレッスンでは生徒さんにコード進行(伴奏)からお作りいただいております。

ここではなぜメロディから作るのが難しいのか、メロディから作曲するデメリットについて見ていきます。

メロディ先で作った場合のデメリット

思い浮かんだメロディの調を正しく見分けられない

メロディ先かコード進行先か?

音は12種類(12音)あります。しかし、すべての音を同時に使うことはほとんどなく、実際には7音程度でグループを成しています。そのグループのことを音楽では「調(ちょう)」といいます。

たとえば、12音(ピアノで言う白鍵と黒鍵を合わせた音)の中で「ドレミファソラシ」の7音をグループにした場合、「ハ長調」や「Cメジャー」と呼ばれます。
※ハやCは、ドを意味する言葉

作曲初心者の方でよくある間違いとして、自分では「ハ長調(Cメジャー)」で作っているつもりが、実際には別の調になっていたというものがあります

なぜなら、調によってはその構成音がそっくりのものがあるからです。例えば次のスケール(調の構成音)を見比べてみてください。

  • ハ長調 (Cメジャー) の構成音:ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・
  • へ長調 (Fメジャー) の構成音:ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ

「ハ長調 (Cメジャー)」と「へ長調 (Fメジャー)」の違いは、シがそのままかシ♭になるかの違いです。

ですので、自分の思い浮かんだメロディが「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」の6音で作られていた場合、てっきり「ハ長調 (Cメジャー)」だと思っていたが、実は「へ長調 (Fメジャー)」だったということが起こりえます。

次の2つのスケールも似ています。

  • ハ長調 (Cメジャー) の構成音:ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ
  • ト長調 (Gメジャー) の構成音:ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯

「ハ長調 (Cメジャー)」と「ト長調 (Gメジャー)」の違いは、ファがそのままかファ♯になるかの違いです。

こちらも、自分の思い浮かんだメロディが「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」「シ」の6音で作られていた場合、てっきり「ハ長調 (Cメジャー)」だと思っていたが、実は「ト長調 (Gメジャー)」だったということが起こりえます。

ある程度の楽器経験があるか、そばに作曲経験者がいない限り、作曲初心者の方がその間違いに自分で気づくことはほぼできません。

ですので、本当は「へ長調(Fメジャー)」や「ト長調(Gメジャー)」のメロディなのに、「ハ長調(Cメジャー)」の伴奏で強引に作ってしまう事態が起こってしまいます。

しかし、コード進行から作ればどうでしょうか?

コード進行を考える際は最初に調を決めてから作りますので、12音の中から使える音(調にある音)と使えない音(調にない音)をはっきり区別することができます。

ですので、先ほどのように「ハ長調(Cメジャー)」のつもりで作っていたが、実際には「へ長調(Fメジャー)」になっていたということは起こりません。メロディの調と、コード進行の調を最初からぴったり合わせて作ることができます。

ただし、調が曖昧になるようなコード進行を作ってしまった場合は、コード進行が先でもメロディの調がずれてしまうことがありえます

正しい小節展開ができない場合がある

メロディ先かコード進行先か?

基本的に音楽は、1セクション(Aメロやサビなど)が4小節あるいは8小節単位で推移します。
※場合によっては1小節程度延びることがあります

ただしメロディから作る方は、中途半端に6小節で終わったり、7小節で終わってしまうようなメロディになってしまうことがあります。
※もちろん「意図」として6小節や7小節で終わるなら問題ありませんが

頭の中でメロディを組み立てているので、そのメロディが何小節の長さになっているかまでは意識できていないことが多いです。

しかし、コード進行から作ればどうでしょうか?

4小節分あるいは8小節分のコードを最初に並べてそれにメロディを付ければ、絶対に6小節や7小節といった中途半端な小節数にはなりません。

足りなければところどころフレーズを付け足せばよいですし、多ければどこかを削除すればよいだけです。

最初から小節を意識しておくことで、次第に「小節感覚」も身に付いてきますので、コード進行とメロディの小節数が合わないということもほとんどなくなってきます。

メロディの終着点が見えない

メロディ先かコード進行先か?

音楽には「終止感」というものが必要になります。「終止感」というのは『ここで音楽が終わったんだなぁ』と容易に感じ取れることです。

メロディから作る方はあまりこの終止感を意識せず、とりあえず前から順番に音を紡いでいくばかりになりがちです。

ですので、いつまで経っても音楽が終わったような感じにならず、宙ぶらりんの曖昧な状態で終わらせようとしてしまいます。
※もちろん「曖昧にさせる」という意図なら構いませんが

何とか終止感を出そうとすると、ダラダラと無駄に音が続いたり、先述の「2:正しい小節展開ができない場合がある」にも関連してそれに伴って小節展開も変になってしまいます。逆に小節数に合わせようとすると、これから盛り上がりそうなところで突然終わらせて、いきなり急ブレーキをかけたような終わり方になってしまうこともあります。

また、終止感と調は密接に関連していますので、自分のメロディが何調なのかよく分かっていないと、その調にふさわしい終わり方もわからず、終止感の出せないまま終わってしまうことにもなりえます。

しかし、コード進行から作ればどうでしょうか?

最初にコードを配置するので、どこで(何小節目で)終わらせるべきか、またはどこで折り返し地点が来るのか明確になります。

また、調も明確なので、終わらせ方もある程度わかりやすくなります。
※基本的に音楽は、その調の1番目の音で終わらせることが多いです

やっぱり『コード進行から』がイイ

メロディ先かコード進行先か?

以上、メロディから作る主なデメリットについて見てきました。

コード進行はある意味音楽の「枠」です。最初に枠を決めておけば、使う音や小節の長さもガッチリ決まります。

パズルと一緒で最初に外枠を作ってから中身へ進むようにした方が、意識しなければならないポイントが少なくなります。

よく「鼻歌メロディにコードを付ける方法」みたいな本を見ますが、それは自分のメロディが「音楽的に正しい」という前提がないと、本に書かれている内容の再現ができません。初心者の方で自分のメロディが「音楽的に正しい」かどうかの判断は非常に難しいと思います。

コード進行から作曲する経験を増やしていけば、調や小節数、終止感といったものは特に意識しなくても、既存曲の形式に沿ったものに仕上げていくことができますので、まずはコード進行から作曲する経験を増やしていかれることを初心者の方には強くお勧めします

メロディから作るのは作曲に慣れてからにしましょう。

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