広告 作曲ブックレビュー

【作曲ブックレビュー】作曲方法・作曲手順編

【作曲ブックレビュー】作曲方法・作曲手順編

『作曲ブックレビュー』トップへ

ここでは作曲方法・作曲手順に関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『作曲エクササイズ40』杉山 泰著

『作曲エクササイズ40』杉山 泰著

この本はメロディの作り方を中心に学べる本です。

「作曲エクササイズ40」というタイトルからもわかるとおり「40の設問」があります。インプットよりもアウトプットに力を入れた本といえます。

そのため、理論的なこと(コード・セカンダリードミナント・分数コードなど)については、サラッと述べられている程度です。また、理論的なことはほんの一部しか取り上げられていませんので、この本で理論を勉強するのは向いていません。

少ないアイディアを基に色んなアイディアを取り入れて、オリジナリティのあるメロディにしていこうというのがこの本の趣旨です。

個人的にはこの方法は大賛成ですね。普通は、初めから複雑なことをしようとか、1個目から完璧なものを作ろうという気持ちになりがちになります。

しかし、実際にはシンプルなものに何かしらのアイディアをつけたして複雑化したほうが結果的に速いですし、途中で挫折するのも防げます。

なぜそういうメロディにしたのか、なぜその音を付け足したのかなど、事細かに説明されているので、初心者の方にもわかりやすいと思います。

コード付けにも言及されているので、メロディはできてもコードが付けられないという方も勉強になると思います。

著者は、コード付けに特化した『リハーモナイズで磨くジャンル別コード・アレンジ術』という本も書かれています。より深いコード付けについて学びたい方は、そちらもご参考にしてみてください。

『8小節から始める曲作りの方法50』藤原豊・植田彰著

『8小節から始める曲作りの方法50』&br;藤原豊・植田彰著

8小節を基本に、大きく分けて、4つの作曲方法で作曲しようというのが趣旨です。

「4つの作曲方法」というのは・・・

  • 鼻歌でメロディを作る
  • コード進行から作る
  • 曲のテーマを決めて作る
  • 目標を決めて作る

です。

いつも同じ作曲の仕方では、いつかマンネリになってしまい、あまりいい曲が浮かばない時があります。

ということで、いろんな作曲方法を知っておくと、いつもの方法でできなくても、別の方法で挑戦できるわけですから安心です。

②の「コード進行から作る」は結構多くの方がされている方法だと思います。

①の「鼻歌でメロディを作る」では、リズムパターンからのメロディ作りを紹介されています。いつも同じメロディになってしまうという方には必見のところではないでしょうか。

③の「曲のテーマを決めて作る」では、ジャンルなどをあらかじめ決めておいてから作るというものです。

④の「目標を決めて作る」も、③と同様あらかじめアイディアを決めておいてから作るというものです。

個人的に、初心者からある程度の上級者まで使える本だと思います。

一部、理論的なことが書かれてありますが、この本で音楽理論を勉強するには説明が少なすぎて大変だと思います。

created by Rinker
¥479 (2024/12/04 15:36:10時点 Amazon調べ-詳細)

『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著

『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著

こちらは、ゲーム『テイルズオブ』シリーズの音楽や、「けいおん!」「らき☆すた」「涼宮ハルヒ」などのアニメ曲の作曲家として知られる田村信二さんの著書です。

「感覚で作って、頭で整えよ」というのを信条とされておられるそうで、最初はフィーリングで自分が良いと思って作ったメロディを基に、そこに工夫やアレンジを追加して音楽として整えていくという作曲法を提唱されています。

個人的にも理屈中心でやるのではなく、「自分なりの心地よさ」をまずは追求するのが大切だと思っています。

この本は「メロディ編」「コード進行編」「アレンジ編」と、3つに大きく分けることができます。

最初のメロディ編では、1~2小節程度のメロディの断片(モチーフ)を基に、それを発展させる方法について見ていきます。

音程差をつける、緩急をつける、上昇&下降などなど、モチーフのアレンジ法について解説されていますので、アレンジ法の引き出しが増え、いつもワンパターンになってしまうという方にとっては非常に参考になるかと思います。

「コード進行編」では、音楽理論的にリスナーが気持ちいいという伴奏を作ることをメインとしています。

基本的にはダイアトニックコード中心で解説されていますが、ところどころノン・ダイアトニックコードが入っており、これがどういうコードなのかまでは解説されていませんので、あまりノン・ダイアトニックコードについてご存知ない方は、実際にこのコードをどういう場面で使うべきか戸惑う部分があるかもしれません。

「アレンジ編」では各種楽器について言及されていますが、核となる部分のみであまり詳しくはありません。

後半にはAメロやサビ等のセクションの展開方法について解説されています。Bメロからサビへの移行や、サビ終わりの効果的なアレンジ法については非常に参考になるだろうと思います。

個人的には、メロディ先行で作るというのはある程度作曲経験のある方にお勧めできる方法です。

全く作曲経験のない方は、小節の感覚や調の感覚、終わり方の感覚というのがまだあまり理解できていないので、中途半端な小節数になったり、調を間違えてコードを付けてしまったり、しっかりとした終止感がないということが十分に起こりえます。

ですので、ある程度作曲経験のある方で、メロディから作曲する(発展させる)方法も勉強してみたいという人にはお勧めです。

また、この本の「自分に合った作曲法を見つけよう」というところで、メロディ先行型以外にもコード先行型や詞先行型など紹介されていますので、必ずしもメロディ先行型(著書流のやり方)のみが正しい方法とは思っておられず、著書自身も他の方法で作ることもあるようです。

created by Rinker
¥2,178 (2024/12/04 15:36:11時点 Amazon調べ-詳細)

『作りながら覚える 3日で作曲入門』monaca:factory:10日P著 [定番]

『作りながら覚える 3日で作曲入門』monaca:factory:10日P著

こちらは、初音ミクをきっかけに作曲を始め、10日で作品を発表したことから「10日P(トオカピー)」と呼ばれたmonaca:factoryさんの著書です。

理論は後回しにして、実際に作曲ソフトで作曲しようというのがコンセプトで、3日でフルコーラスを作ることを目標にしています。

使用するソフトは無料で使える「Domino」で、本の中でもDominoを使って解説されています。
※DominoはWindows専用なので、Macの方はGarageBandを使いましょう

また、ピアノロール画像が載っていたり、サンプル音声もありますので、作曲初心者の方でも理解しやすい構成がされていると思います。

Dominoのセッティングから始まって、1日目でドラムとベース、2日目でピアノとメロディ、3日目でフルコーラスという流れになります。

1日目・2日目は1セクション(サビ)だけですが、3日目はフルコーラス(イントロ・Aメロ・Bメロ・アウトロ追加)になるので、かなり3日目が大変になるかもしれません。

内容の後半は、やや応用的なコードや、コード進行例が掲載されています。

自分で考えながらというよりは、著書の内容に沿って入力していくという要素が強いので、最初の1曲は著書通り入力していくと完成するかもしれませんが、2曲目以降は「ではどうするの?」となってしまうでしょう。

ただ、いまだかつて作曲を行ったことがないという人にとっては、作曲の流れを知る/経験するという点で参考になることも多いはずです。

created by Rinker
¥1,683 (2024/12/04 15:36:11時点 Amazon調べ-詳細)

『イメージした通りに作曲する方法50』梅垣ルナ著

『イメージした通りに作曲する方法50』梅垣ルナ著

浮かんだイメージ、表現したい感情などから作曲をするというスタンスの作曲本です。

一般的な作曲本は理論先行型が中心ですね。理論をとりあえず身につけて、自作曲に生かそうというのが趣旨です。

しかしこの本は理論は置いておいて、とにかくイメージに合ったものを組み立てていくという趣旨です。

本書では理論的なことは少なく、ミニTips的にあちこち散りばめられています。そのため、ある程度音楽理論に対して知識がないと逆に難しいかもしれません。

そもそも、なぜこのイメージにこのコードなのか、スケールなのか?など理屈を分かっていないと、自分でも同じように再現しづらいでしょう。

イメージから作曲するというのは一見初心者向きですが、実際はかなりの上級者テクニックだと思います。

最初は、とにかくコード進行とメロディを作ってから、「これは○○を表現するのに使えるな」「この曲は、○○っぽいな」という風に、イメージを後付けしたほうがいいかもしれません。

ある程度自分なりに作り方が固定化されていて、もうちょっと色んな目線でも作ってみたいなと思ったときに参考になる本と言えます。

もっとイメージを発展させて作る方法を知りたいという方は同著者(次に紹介するもの)の『イメージを1曲に仕上げる作曲テクニック』をお勧めします。

『イメージを1曲に仕上げる作曲テクニック』梅垣ルナ著

『イメージを1曲に仕上げる作曲テクニック』梅垣ルナ著

こちらは、著者である梅垣ルナさんの前著『イメージした通りに作曲する方法50』をより掘り下げたような内容になっています。

前著も「イメージ」をテーマに書かれておりましたが、サンプル一つ一つが短い印象がありました。

ただ今回はイントロ~アウトロまで、つまりフルコーラスを5曲分(ボーカルあり)まるまる載っていますので、イメージに沿って作るというのはどういうものか知ることができます。

基本的に「自分のイメージをコード進行で表現する」というのが軸になっていて、メロディに関する情報はほとんどありません。

また、楽器関係(楽器アレンジ)についての情報は一切ありません。あくまで「コード進行」がメインとなっています。

流れとしては、Aメロ ⇒ Bメロ ⇒ サビ ⇒ イントロ/間奏/アウトロの順で作っていき、最後によりイメージに近づけるためハーモニゼーション(コードの調整)していくという風になります。

サンプル音声(MIDIデータ含む)だけでなく、楽譜、コードとメロディのピアノロール画面が掲載されていますので、視覚的にもわかりやすく説明しようという意図が感じられました。

ただ、サンプルとなっている作品のコード進行で、結構応用的なコードが含まれていたり、激しくそして細かく転調するものだったりで、音楽理論に詳しくない方、作曲経験のあまりない方にとっては難しく感じられるだろうと思います。

イメージをコード進行で表すというのは結構高度な手法だと思いますが、音楽の行く道を明確にしますので、方法としては非常に有効なものの一つだと思います。

ある程度作曲数が多くなってきたときに、「こういう作り方もあるんだな」と参考になることがあるはずです。

-作曲ブックレビュー