「作曲って難しそう」とか「作曲なんてできるわけがない!!」と思っている方の大半は、そもそも「作曲ってどういう風にするかわからない」、あるいは「曲の作り方(作曲の手順)を知らない」というのが大きな理由だと思います。
「作曲」と聞くと、何か複雑な手順があるのだろうと思われがちですが、実は作曲は大きく次の「3つのステップ」しかありません。
その「3つのステップ」というのは・・・
- リズム(ドラム)を決める
- 伴奏を付ける
- メロディを付ける
これだけです。
上記のステップは人によって、また場合によって順番が変わることがありますが、大抵はこの工程だけです。
この他に色んな楽器を付け足す作業は”作曲”ではなく、”編曲”と言われます
「作曲ソフト」を使えばこれらのステップが再現できますので、興味がある方はぜひ作曲ソフトをご検討ください。
※作曲ソフトは無料のものもあります
それでは、順番に見ていきましょう。
ステップ1:リズム(ドラム)を決める

リズム(ドラム)は音楽の基礎の部分です。同じ伴奏・メロディであっても、リズムによって全く異なる音楽にしてしまうことがあります。
「リズム(ドラム)=音楽」といっても良いくらいです。
しかし、「ドラムなんか弾けない」「ドラムの知識なんてない」という方もいらっしゃるでしょう。
そういう方は、「ループ素材」を使いましょう。
「ループ素材」というのは、1〜4小節程度の短い音素材集のことです。ほとんどの場合が、実際の生演奏を録音したものですので、このループ素材を使うことによってかなりのリアル感が出てきます。
「自分はプロを目指しているので、そんな音素材なんて使いたくない!!」「そんな”出来合い”のものを使って作曲するなんて素人がすることだ!」と思ったあなた。
実は、こういった音素材はプロの方も積極的に使われています。むしろプロの人の方が使っていると言っても過言ではありません。
ちなみに、「ヒップホップ」という音楽のジャンルは、ループ素材や音素材をあれこれいじっている時に生まれた音楽です。
では何種類かループ素材を取り上げてみましょう。
【Pops・Rock系ドラムループ】
【Jazz系ドラムループ】
【Blues系ドラムループ】
【R&B系ドラムループ】
【Funk系ドラムループ】
【Dance系ドラムループ】
【南国系ドラムループ】
こういったドラムループ集の中から自分の目的(作りたい曲・ジャンル)にあったものを選択していきます。
なにも一(いち)から作り上げる必要はありません。どんどん積極的にループ素材を使っていきましょう。
ループ素材はジャンル別になっているものから、いろんなジャンルをまとめたものまで多種多様あります。
また、DAWに付属している場合もあります。
※GarageBandならかなりのループ素材が含まれています
もちろん、これらのループ素材は「著作権フリー」になっていますので、自分の曲に使っても、何ら問題はありません。
ステップ2:伴奏を付ける

伴奏では「コード(和音)」が重要になってきます。
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という7つの音のみでできたコードを色々並び替えて、自分のアイディアにあったものを作りましょう。
コードについては詳しくは『ミニ「コード理論」講座』で説明しておりますので、まだお読みでない方はそちらをご覧ください
ここでは、『ミニ「コード理論」講座』の例4「②→⑤→①→⑥→②→⑤→①」というコード進行を使いましょう。
このコード進行に、ステップ1のリズム(ドラム)を加えます。そうすると、ただの音の並びだったコード進行に「曲っぽさ」がグッと出てきます。
とりあえずステップ1の「Pops・Rock系ドラム」を加えてみましょう。
【コード進行例4+Pops・Rock系ドラム】
※コード進行のテンポはドラムにあわせています
では、今度は同じコード進行に前回の「R&B系ドラム」を付け加えてみましょう。
【コード進行例4+R&B系ドラム】
※コード進行のテンポはドラムにあわせています
では、今度は同じコード進行に前回の「Dance系ドラム」を付け加えてみましょう。
【コード進行例4+Dance系ドラム】
※コード進行のテンポはドラムにあわせています
どうでしたか?「コード+ドラム(リズム)」でかなり曲っぽさが出てきたでしょう。しかもドラムを変えるだけで同じコード進行(伴奏)でも、かなり雰囲気も変わっていくのがわかるのではないでしょうか?
プロの方でも同じ方法で作曲をしていきます。
まるで着せ替え人形を楽しむかのようにドラムを変えたり、コードを変えたりしながら、自分のイメージにあうものを探っていくんですね。
ステップ3:メロディを付ける

ステップ1とステップ2をあわせたものに、メロディをつけると「作曲」の完成です。
ここでは最もオーソドックスな方法でメロディを作っていきましょう。
その方法とは・・・「鼻歌」です。
前回までのカラオケ(バックトラック)に、「フフン♪〜」と鼻歌でメロディを探っていきます。
初歩的な方法ですが、プロの方ももちろんしていますのでご安心を。
鼻歌の作り方で効果的なものが、「始まりの音をあらかじめ決めて」おいて、「その音を軸に鼻歌を練っていく」というのがあります。一度お試しください。
ある程度作曲に慣れている人は「鼻歌から作曲」という人もおられますが、初心者の方はまず伴奏(カラオケ)を先に作っておく方が無難です。何もないところからメロディを作っていくのは行き詰まる可能性が大です。
カラオケを聴きながら次のような鼻歌メロディを考えました。
では、前回までのカラオケにこの鼻歌メロディを付け加えてみましょう。
【Pops・Rock系カラオケ+鼻歌メロディ】
【R&B系カラオケ+鼻歌メロディ】
【Dance系カラオケ+鼻歌メロディ】
コード進行の場合と同様、同じコード進行・同じメロディであっても、ドラムを変えるだけで随分、雰囲気が変わってきます。
同じ方法で、Aメロ・Bメロ・サビという風に楽曲を広げて、1曲が完成していきます。
完成後はアレンジで
以上の3ステップで作曲は完成です。完成後は作曲ではなく、「アレンジ(編曲)」というところになります。
アレンジですることは、ベースやストリングス(弦楽器)など他の楽器を加えたり、コードやメロディを少し変更したりします。つまり、より曲らしく変身させる作業です。
「アレンジ」は女性のお化粧みたいなものです。
ボトムス(ドラム)やトップス(コード)、髪型(メロディ)など完成させて、最終的に化粧(アレンジ)で終わりということです。
※人によっては順番が違うかもしれませんが・・・
作曲作業の流れを見ていただきましたが、作曲は毎回同じような流れになります。つまり簡単に言えば、作曲の仕方が「マニュアル化」されています。
そのため、最初は1曲作るのに2〜3週間かかっていたものが、2曲・3曲とどんどん作っていくと、作業の流れはいつも決まっている訳ですから、自分なりの「曲の作り方」や「コツ」が掴めるようになり、作業が短時間で済むようになってきます。
つまり、作曲はすればするほど、「質」「量」「時間」ともに向上していきます。
ここが「作曲のおもしろいところ」です。自分の進歩を「作曲を通して」実感できるんですから。昨日までできなかったことが今日になればできていたり、全く浮かばなかったアイディアが突然何かの拍子に浮かんだりとか、不思議なことが起こり出します。
また、かなり慣れてくると、次のような鼻歌を・・・・
次のようにアレンジまですることが可能になります。
ただ、より幅広い作曲を可能にするため、「質」「量」の向上のためには、音楽の基本構造である「音楽理論」を身につけていかざるを得ないもの事実です。