ここでは、音楽理論の大半を占める「コード理論」を、難しい話はここでは抜きにして見ていきます。
楽譜(五線譜)が苦手な人でもおわかりいただけるように、楽譜を使わず説明していますので、初心者の方も安心してご覧ください!
そもそも「コード」とは?

「コード」というと、何か記号や暗号というような意味合いに思えますが、音楽で言う「コード」とは『和音(複数の音を同時に鳴らした状態)』のことです。
※記号や暗号を示すコードの英語は「code」、音楽のコードは「chord」で綴りも違う
音楽に迫力があったり、複雑に聴こえるのは、同時に複数の音(和音)を鳴らしているためです。
では、どんな音でも重ねればいいか?というと、そうではありません。
何でもいいから音を重ねていけば、メロディの邪魔をしたり、コード自体の音が濁ってしまったりしてしまいますので、それなりの「法則」があります。
その「法則」というのは、「スケール(音階)の音を”1つ飛ばし”で重ねる」というのが一般的です。
「スケール(音階)」というややこしい名称がでてきましたが、これは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のことです。
つまり、「ドレミ〜」の各音を"1つ飛ばし"で重ねていってコードを作ります。
重ねる音数は特に決まりはありませんが、ここでは簡単に「3つ」にしておきます。
ドレミ~でコードを作ってみよう

では、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という7つの音だけで、どんなコード(和音)ができるのでしょうか?
各音を起点に1音飛ばしでコードを作っていきましょう。
「ド」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
「ド」を起点とすると、次の「レ」を飛ばして『ミ』、その次の「ファ」を飛ばして『ソ』を重ねていきます。ということで、「ド・ミ・ソ」というコード(3和音)ができあがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
「レ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
では今度は「レ」を起点としたコードを作っていきましょう。
レ」を起点とすると、次の「ミ」を飛ばして『ファ』、その次の「ソ」を飛ばして『ラ』を重ねていきます。ということで、「レ・ファ・ラ」というコードができあがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
「ミ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
続いて「ミ」を起点としたコードを作っていきましょう。
方法としては同じなので結論だけ言うと、「ミ・ソ・シ」というコードができがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
「ファ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
続いて「ファ」を起点としたコードを作ると、「ファ・ラ・ド」というコードができがります。
音は「シ」を超えると再び「ド」に戻ります
ではサンプルを聴いてみてください。
「ソ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
続いて「ソ」を起点としたコードを作ると、「ソ・シ・レ」というコードができがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
「ラ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
続いて「ラ」を起点としたコードを作ると、「ラ・ド・ミ」というコードができがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
「シ」を起点としたコード
【 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ 】
最後に「シ」を起点としたコードを作ると、「シ・レ・ファ」というコードができがります。
ではサンプルを聴いてみてください。
作曲はパズルゲームだ!

以上のように、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という7音で、
「ドミソ(①)」
「レファラ(②)」
「ミソシ(③)」
「ファラド(④)」
「ソシレ(⑤)」
「ラドミ(⑥)」
「シレファ(⑦)」
という7つのコードが出来上がりました。
作曲は、上の7つのコードを色々並び替えて、きれいに流れを模索して行います。
まるで、パズルのピースを並び替えるように、合うか合わないかを耳で判断して作っていっているのです。
つまり、作曲は「パズルゲーム」みたいなものです。
今、世界中に出回っている音楽の約6〜7割ぐらいが、上の7つのコードだけで成り立っています。
※キー(調)が違う場合もありますが
これ、驚きじゃないですか?世界には恐らく何億、何十億と曲があると思いますが、そのほとんどの曲の中身は突き詰めるとこの7つのコードだけなんて・・・
もちろん、上の7つ以外のコードを使っている音楽もあります。そういったコードをあわせても、たかだか20種類ぐらいしかコードはありません。
しかも、「すべてのコードを使わないといけない」ということはありません。大体、1曲中に平均4コから、多くてせいぜい10コ程度のコードで出来ています。
先程、「作曲はパズルゲームのようだ」と言いましたが、パズルの大人用は最低でも300〜400ピース以上はあります。対して作曲は最高で「約20ピース」。しかもすべて使う必要はなく、さらに何回でも同じピース(コード)が使えます。
それでは、色んなピースを当てはめて伴奏を作っていきましょう。
コードを並べて伴奏を作ってみよう

では実際に先程の7つのコードを色々並び替えてみましょう。ちなみに、並び替えて作ったコードの流れを「コード進行」といいます。
わかりやすくするため、7つのコードを数字で記していきます。
①ドミソ ②レファラ ③ミソシ ④ファラド ⑤ソシレ ⑥ラドミ ⑦シレファ
基本的に、コード進行は①を最後に持ってくると、非常に「落ち着き感」が出ますので、すべて最後は①にします。
コード進行例1:①→④→⑤→①
このコード進行は、作曲理論の中でド定番のコード進行です。ド定番すぎて、最近では逆にあまり使われません。
ではこのコード進行を聴いてみてください。
コード進行例2:①→⑥→②→⑤→①
このコード進行もド定番です。
コード進行例3:①→⑤→⑥→③→④→①→④→⑤→①
これは、「カノン進行」といわれ、これと同じコード進行は数えきれないくらいあります。
例えば、「翼をください」「愛は勝つ」「さくらんぼ」「クリスマス・イヴ」「それが大事」などなど、書ききれません。
下のサンプル音にあわせて、それらの曲を歌ってみてください。
(テンポがそれぞれ違いますので、歌いにくいかもしれませんが・・・)
コード進行例4:②→⑤→①→⑥→②→⑤→①
コード進行は「①で始まって①で終わる」ことが多いですが、最近では、この例のように①以外で始まるコード進行が増えてきました。
この他、並べ方によっては何十通りにもなります。ピアノなど鍵盤楽器をお持ちなら、色々並べ替えてみてください。自分でもおもしろいコード進行が作れるかもしれません。
コード進行のわずかな違いだけで、全く異なる曲になることがあるので、この7つのコードだけでもたくさんの曲が生まれていく、ということになります。
コードについてイメージができるようになった方は、ぜひ『3ステップで学ぶ作曲講座』もご覧ください