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『編曲の本』日本作編曲家協会著

『編曲の本』日本作編曲家協会著

こちらの『編曲の本』は、見た目はまるで図鑑を思わせる、いかにもマニアックな本です。

複数の作編曲家の方々が、自分の編曲のスタンスや編曲時のコツ等々を紹介しています。

執筆されている作編曲家の一例をあげると、テレビでもおなじみの服部克久さんや、その息子さんである「真田丸」の音楽を担当された服部隆之さん。

大河ドラマ「秀吉」等の小六禮次郎さん、信長の野望シリーズや「花は咲く」の菅野よう子さん、ドラゴンクエストシリーズのすぎやまこういちさんなどなど、第一線で活躍されている方々です。

内容は「理論編」「技術編」「実践編」の3つに分かれています。

「理論編」では、音楽理論での特徴的な部分について、各先生方が自分のスタンスについて述べられています。

たとえば、クラシックでは禁則といわれている「V―IV―I」の進行についてどう思うか、和音を転回した場合はベース音と同じ音を省略した方が良いかなどです。

必ずしも皆さんが同じ見方をしているというわけではなく、またその場面場面(クラシック寄りかロック調かなど)でも使い分けられている方もおられます。

ロックや歌謡曲、演歌に対しては肯定的な意見が多いですが、無調性の現代音楽に対してはやや否定的な意見が多かったのは興味深いところでした。

「技術編」では弦楽器や管楽器、打楽器、和楽器の細かな技術的な知識について解説されています。

「実践編」では実際に編曲の流れ(依頼を受けたところから)について見ていきます。これは実際に編曲家としてこれから活動していこうとされる方には参考になるかもしれません。
※執筆時と今とではもしかすると流れが少し変わっているところもあるかもしれません

どちらかというとクラシック寄りの内容なので、ポップミュージックを目指されている方にはあまりここまで知らなくても良いかなと思います。

ただ個人的には「理論編」だけは読んでおく価値はあると感じました。



『編曲の本』日本作編曲家協会著
『編曲の本』日本作編曲家協会著