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【作曲ブックレビュー】MIDIプログラミング編

【作曲ブックレビュー】MIDIプログラミング編

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ここではMIDIプログラミングに関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『MIDI打ち込みでバンド・アンサンブルを作る本』山中 剛著

『MIDI打ち込みでバンド・アンサンブルを作る本』山中 剛著

この本は、いわゆるバンドサウンド(ドラム・ベース・ギター・キーボード)のMIDIアレンジ方法について見ていくものです。

あくまで「アレンジ」ですので、各楽器はそもそもどのように打ち込むか(演奏されるか)を知らないと理解するのが難しいかもしれません。

冒頭では各楽器についての紹介がありますが、あくまで楽器についてのみです。

すでに打ち込みについて知っていて、よりリアルなものにしたい、別のアレンジ法を知りたいという方にとっては参考になるでしょう。

こちらはCubaseのピアノロール(キーエディタ)画面で解説されていますし、Cubase用のプロジェクトファイルがダウンロードできますので、Cubaseユーザーにとってはとっつきやすいのではないでしょうか?

Cubaseのピアノロール画面を見ながら、本を読み進めることができます。

ただ、どのDAWでも対応できるように、MIDIファイルがダウンロードできますので、Cubaseユーザー以外でも大丈夫です。
※MIDIファイルを使う場合はいちいち音色を割り当てないといけませんが

また、WAVE形式のサンプル音声(2Mixと各楽器)もありますので、イメージしやすいでしょう。

全部で16曲分のサンプルファイル(アレンジ例)があり、1セクション(Aメロ・Bメロ・サビなど)だけを想定していますので、だいたい各ファイル8小節くらいの長さになります。

コード進行も載っていますが、ところどころノン・ダイアトニックコードが入っており、なぜそういうコードが使えるのか等、理論的な説明はほとんどないので、音楽理論(コード理論)をあまり知らない人にとっては難しく感じるコード進行もあるはずです。

音源・エフェクトのパラメーターの画像も載っており、各パラメーターはどのような作用があるのかを知ることができます。

いつもプリセットのまま使っていて、音を変化させたいけどどこをいじればよいのかわからないという人にもおすすめできます。

『DTM打ち込みグルーブ制作技法』山村牧人監修

『DTM打ち込みグルーブ制作技法』山村牧人監修

ドラムはある意味音楽の根幹といえます。つまり、ドラムが音楽のクオリティを左右するといっても過言ではありません。

打ち込んだドラムがどうしても機械っぽくなる、打ち込む臭さが出てしまうということはないでしょうか?

こちらの本は、実際にドラマーがRolandの「V-Drums」を使ってリアルタイムレコーディングしたグルーヴ素材集です。

ベロシティ(楽器を叩く強さ)やタイミングが良い意味でバラけていますので、生演奏そのものです。

ベロシティとタイミングをずらすと自然なものになるということはわかっていても、どの程度の値にすべきかはわかりづらいのではないでしょうか?

どのようなフレーズか、どのようなベロシティか、どのようなタイミングで鳴らしているかが一目でわかる「マトリクス形式(ステップシーケンサーみたいなもの)」で掲載されていますので、視覚的にもわかりやすい配慮がされています。

MIDIファイルが付属していますので、そのまま作曲ソフトにインポートして使うことも可能ですし、自分なりにアレンジすることも可能です。

また、WAVEファイルも付属しています。ただ、1小節分しかありませんので(MIDIファイルも)、若干イメージしにくいかもしれません。

収録されているのは、8ビート23パターン、16ビート25パターンです。

各パターンに、Intro・Aパート(Aメロ用)・Bパート(Bメロ用)・Cパート(サビ用)のフレーズがあり、Introを除く3パート用のフィルもあります。

もっとドラムに人間臭さをだしたいという方にはお勧めです。

『ブラス&ストリングスアレンジ自由自在』松浦あゆみ著

『ブラス&ストリングスアレンジ自由自在』松浦あゆみ著

「ブラス(管楽器)」や「ストリングス(弦楽器)」はあまり馴染みがないので、自分の作曲にどう生かしていけばよいか、どう入れていけばよいか分からない方も多いのではないでしょうか?

この『ブラス&ストリングスアレンジ自由自在』は、ブラスやストリングスの特有の奏法、アレンジ法が載っています。

MIDIプログラミング(打ち込み法)に関する記述もありますので、MIDIで「ブラス」と「ストリングス」を表現したい人にオススメです。

ただ、最近では音源のクオリティも上がってきて、各種奏法をわざわざMIDIで細かくシミュレートしなくても良くなってきたのも事実です。
※すでに音源の中に各種奏法がプリセットで入っていて、キースイッチで切り替えるだけで表現できます

その他、各楽器のボイシング法やハーモニーの連結方法など理論的な部分もあり、知識の向上にも役立ちます。

『DTMでクラシック』小谷野謙一著 [オススメ!]

『DTMでクラシック』小谷野謙一著

過去数冊、「オーケストレーション」に関する本(国内外のもの問わず)を読んできましたが、この『DTMでクラシック』がダントツで一番です。

「名曲で学ぶ表情豊かな打ち込みテクニック」という副題からわかる通り、過去の名曲を題材に実際にDTMを使って打ち込んでいます。

著者使用のDAWは「CUBASE」で、音源は「GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA 4」です。

MIDIデータが付属しますので、他のDAWやオーケストラ音源をお持ちの方でも使えます。ただ、CUBASE用のプロジェクトファイルも付属しますので、CUBASEユーザーにとってはかなりメリットがあると思います。

もちろん、完成形のWAVファイルがありますので、最終的にどのようになっているかも聴くことができます。

この本の良いところは、ただ単にこうしなさい・ああしなさいと自分のやり方だけを教えるのではなく、初心者が起こしがちなダメな例も載せているところです。良い例と悪い例の対比があることによって、理解も深まるでしょう。

「クラシック」ということでポピュラー音楽の作曲・編曲には関係ないと思われるかもしれませんが、ストリングなどはポピュラー/クラシック問わず使われていますので、ストリングス特有の奏法など勉強になると思います。

ぜひ、知識の幅を広げる為にもお読みいただくことをお勧めします。

『DTMによるオーケストレーション実践講座』侘美秀俊著

『DTMによるオーケストレーション実践講座』侘美秀俊著

「オーケストレーション」という言葉をご存知でしょうか?これは、オーケストラ(管弦楽)用に作曲や編曲することをいいます。この本は、DTMでそのオーケストレーションする方法について言及されたものです。

本書の最初では、DTMソフトを使うことのメリットや注意点など書かれていて、やはりあまりDTMが一般的でなかった当時の風潮がなんとなく感じます。

最初はエリック・サティの『ジュ・トゥ・ヴー』をサンプル曲として、弦楽四重奏、木管楽器や金管楽器、室内オーケストラへのトランスクライビング(楽譜化)例が紹介されています。

本書に対応しているサンプル音源が下記のページから試聴できます。
http://takumi.air-nifty.com/orchestration/cat7279029/index.html

どの音をどの楽器に担当させるか、ボイシング方法やアーティキュレーションなどオーケストレーションのポイントとなるテクニックが至る所で紹介されています。

ただし、DTMで再現出来る部分には限度があるのも事実なので、この本を読んだからといって、すぐに音が変わる訳ではありません。

やはり、事細かなニュアンスは実際に生音を聴いて、自分なりのテクニックを見つけていくしか方法はないように思えます。

特に複雑な音楽用語や理論的なことが書かれている訳ではありませんので、初心者の方でもスラスラ読める内容でしょう。

オーケストラに興味のある方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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