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【作曲ブックレビュー】アレンジ(編曲)編

【作曲ブックレビュー】アレンジ(編曲)編

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ここではアレンジ(編曲)に関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『甘い作曲講座』ヲノ サトル著 [オススメ!]

『甘い作曲講座』ヲノ サトル著

パソコンソフトでビートの上にコードを鳴らし、メロディを作ればそこそこの楽曲が完成します。しかし、もっとシャレたコードや甘いメロディにすると、より雰囲気を醸し出すことができますね。

この『甘い作曲講座』は、その名の通り、楽曲を「甘く」するためのアイディアが詰まっているアレンジ本です。

この本は結構範囲が広く、甘い和音の作り方、メロディの作り方、モード、対位法、イントロ・アウトロの作り方など紹介されています。

あくまでアレンジを主眼としているので、ある程度音楽理論について知識がある人にオススメです。

作曲系の本はどこか固い内容というイメージですが、この本は読んでいて面白いです。

著者に対しては失礼ですが、各章のあちこちに「くだらない話」や、おもしろい絵が満載で、思わずニヤっとしてしまいます。

恐らく、作曲本アレルギーがある人でもすんなり読めてしまうと思います。

残念ながら、この本はもう絶版になってしまっているようですが、ぜひ読んでもらいたい本ですね。

『コード編曲法 ~藤巻メソッド』藤巻浩著 [定番]

コード編曲法

同著者作の『コード作曲法』の編曲バージョンです。『コード作曲法』と同じように、音声講義や楽譜PDF、MIDIデータ・サンプル音源などが付いています。

同じメロディ(弦楽セレナーデ)を使って、色んなジャンルに編曲するというのがこの本の趣旨です。ジャンルは「Rock」「Jazz」「Bossa Nova」「Disco」などなど多岐にわたります。

ただ単にサビだけではなく、イントロ〜アウトロまでのサンプル曲に仕上げられているので、方法論としては自作曲にもかなり役立てられるのではないでしょうか。

あくまで「編曲」ですので、基本的な音楽理論・コード理論を知らないと理解できません。一部理論的な解説などもありますが、初心者の方は理解するには少し難しいでしょう。

ただし、ある程度コードに対しての知識がある方で、「具体的にどう仕上げていったらいいのだろう」という疑問を持っている方はかなりおすすめの内容になっています。

一番重要なのは知識を身につけることではなく、実際にアウトプットしてみること。そしてプロ曲との差を感じられるようになったら一人前です。

ぜひ自分なりに曲を作ってみて、この本とどこが違うのか?どうすればこの本のようになるのかを考えてみることも大切だと思います。

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『編曲テクニック99』マニュアル・オブ・エラーズ著

『編曲テクニック99』マニュアル・オブ・エラーズ著

「アレンジ(編曲)」ってかなり大切です。作曲したものを生かすも殺すもアレンジ次第です。

同じメロディ・コード進行でも、アレンジ次第では全く異なる楽曲に仕上げることができます。

現在のところ、「アレンジ(編曲)」のみ焦点を当てた書籍は少ないですが、この『編曲テクニック99』は数少ないアレンジ本です。

ただ、総合的にアレンジを学べるというよりは、ミニTips的なものが多く、これを読んだらアレンジ上手になるというのではないでしょう。ほんの小さな「スパイス」っていうところでしょうか?

コードやボイシングなど音楽理論的なところや、ピアノ・ストリングス・ブラスなど楽器に関するところ、オーディオ素材に関するところなど、幅広く扱っています。

ただ、全体的に薄く広くという感じで、個人的にはもう少し掘り下げてほしかったな、と思いました。

テクニックが99コ掲載されていますが、ジャンルによって、また人によって使えるテクニックは限られてくると思うので、実質はもっと少ないと考えてもいいでしょう。

「あ、こういう方法もあるんだ」的な感じでみていけばいいのではないのでしょうか?

『リハーモナイズで磨くジャンル別コード・アレンジ術』杉山泰著

『リハーモナイズで磨くジャンル別コード・アレンジ術』杉山泰著

「リハーモナイズ」に焦点を当てた本です。「リハーモナイズ」というのは、簡単に言えばコードの置き換え作業です。

一般的にダイアトニックコード中心でコード進行を作っていきますが、当然調性の範囲内のコードのみですので、あまり面白みがありません。

そこでいろいろコードを置き換えていくと、よりおしゃれになったり、かっこよくなったりします。

この本はジャンル別になっており、そのジャンルにあったリハーモナイズを紹介しています。一貫して、「The Water is Wide」という馴染み深いメロディを使ってリハーモナイズしています。

ただ、あくまでリハーモナイズですので、コード以外のことには言及されていません。

もちろん、コード理論に対して知識がない人はある程度コード理論を知っておく必要があります。この本でコードについて学ぶのはオススメできません。

ドラムやベースなど、楽器を含めたアレンジ書がほしい場合は、「コード編曲法」をオススメします。

『転調テクニック50』梅垣ルナ著

転調テクニック50

基本的に音楽は一つの調(キー)に従って作られます。そうすることで一つの「まとまり感」を出すことができます。ただ、時折もっとドラマチックにしたい、もっと雰囲気を変えたいという場合もあります。

そういう場合は「転調(楽曲の途中で調を変える)」がおすすめです。

しかし、どうやって転調してよいかわからない、転調させてみたものの、転調前と転調後のギャップが大きすぎて自然な変化にならないという方も多いはず。

そういう場合はこの「転調テクニック50」が役立ちそうです。

このタイトルの通り、転調の参考例が50種載っていますので、参考になりそうなものを選んで自分の作品に生かすことができます。

こちらに掲載されている転調は、ドミナントモーションやセカンダリードミナント、裏コードを介したものが中心となっています。

その他にも平行移動(平行和音)やピボットコード(転調前と転調後に共通するコード)を使った転調もあります。

2度音程や3度音程移動するもの、4度音程や5度音程移動するものなの様々です。

また、マイナーキーからメジャーキーへの転調例も載っています。

この本を読むと、やり方次第ではどんな調へも転調できるということがわかると思います。

譜例もありますし、サンプル音声も付いています。サンプル音声はメロディやドラムトラックも付加されている状態なので、よりイメージがしやすいのではないかと思います。

さらにMIDIファイル付きですので、お持ちのDAWで内容を分析したり、一部を使ったりできそうです。
※もちろんこれをこのまま使うのは著作権にひっかかります

作曲に慣れていない方はできるだけ1つのキーに絞って実力をつけた方が良いですが、ある程度実力が付いてくると転調も一つの選択肢として持っておいた方が良いでしょう。

著者の梅垣ルナさんは過去の著書でも転調を多用したコード進行例を紹介されていたので、転調が好きな方なんだなと思っていましたが、まさか転調のみに絞った本を出されるとは思いませんでした。

転調に絞った本がこれまでなかった(と思いますが)ので、今現在作曲の勉強をされている方にとっては非常に有効だといえます。

『編曲の本』日本作編曲家協会著

『編曲の本』日本作編曲家協会著

こちらの『編曲の本』は、見た目はまるで図鑑を思わせる、いかにもマニアックな本です。

複数の作編曲家の方々が、自分の編曲のスタンスや編曲時のコツ等々を紹介しています。

執筆されている作編曲家の一例をあげると、テレビでもおなじみの服部克久さんや、その息子さんである「真田丸」の音楽を担当された服部隆之さん。大河ドラマ「秀吉」等の小六禮次郎さん、信長の野望シリーズや「花は咲く」の菅野よう子さん、ドラゴンクエストシリーズのすぎやまこういちさんなどなど、第一線で活躍されている方々です。

内容は「理論編」「技術編」「実践編」の3つに分かれています。

「理論編」では、音楽理論での特徴的な部分について、各先生方が自分のスタンスについて述べられています。

たとえば、クラシックでは禁則といわれている「V―IV―I」の進行についてどう思うか、和音を転回した場合はベース音と同じ音を省略した方が良いかなどです。

必ずしも皆さんが同じ見方をしているというわけではなく、またその場面場面(クラシック寄りかロック調かなど)でも使い分けられている方もおられます。

ロックや歌謡曲、演歌に対しては肯定的な意見が多いですが、無調性の現代音楽に対してはやや否定的な意見が多かったのは興味深いところでした。

「技術編」では弦楽器や管楽器、打楽器、和楽器の細かな技術的な知識について解説されています。

「実践編」では実際に編曲の流れ(依頼を受けたところから)について見ていきます。これは実際に編曲家としてこれから活動していこうとされる方には参考になるかもしれません。
※執筆時と今とではもしかすると流れが少し変わっているところもあるかもしれません

どちらかというとクラシック寄りの内容なので、ポップミュージックを目指されている方にはあまりここまで知らなくても良いかなと思います。

ただ個人的には「理論編」だけは読んでおく価値はあると感じました。

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