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【作曲ブックレビュー】ジャズ理論・ジャズアレンジ編

【作曲ブックレビュー】ジャズ理論・ジャズアレンジ編

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ここではジャズ理論・ジャズアレンジに関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『ジャズ・スタンダード・セオリー ~名曲から学ぶジャズ理論の全て』納 浩一著 [定番]

『ジャズ・スタンダード・セオリー ~名曲から学ぶジャズ理論の全て』納 浩一著

こちらの本は、ジャズマン必携の書と言っても良い「ジャズ・スタンダード・バイブル」シリーズの筆者、納 浩一さんによるジャズ理論書です。

一般的な理論を順番に解説していくというスタイルではなく、既存曲のコード譜を基に、ここではどういう理論が使われているということを解説してくスタイルなので、実践に基づいた形で読み進められます。

簡単に言うと、コードアナライズ(コード分析)がメインとなる理論書です。

15曲分の譜例が掲載されており、なおかつその譜例の実演CD付きなので、目で理解したものを、耳で確認するということが可能です。

ダイアトニックコードの説明から始まり、セカンダリードミナントや裏コード、分数コード、サブドミナントマイナーコードなど、ほとんどのコード理論が網羅されているといっても過言ではありません。

また、コードだけでなく、アベイラブル・スケール(各コードに適したスケール)やモードについての解説もされています。

ただ、副題には「ジャズ理論の全て」と書かれていますが、ジャズっぽい響きのテンションコードやaddコード、ジャズコード特有のボイシングについては解説がなかったので、そういった部分ではまた他の書に任せないといけません。
※あるいはそういった部分を解説した続編を期待します

譜例や図も多用されていることからわかりやすく解説しようという工夫がされていますが、全く理論を知らない人がジャズ理論を知りたいということでこの本を手にするのはあまりお勧めできません。

ある程度音楽理論について知っていて、復習的な意味合いで使うと良いかなと感じました。

個人的には本書内の譜例をコピーして、自分なりにアナライズしてみて、著者のアナライズで答え合わせするということをすると、かなり勉強になると思います。

ただしこちらの本でも書かれているように、著者のアナライズはあくまで著者の視点であって、必ずしもそれのみが正解というわけではありませんので、自分はこう思うというのがあって当然です。

『ピアニストのためのジャズ・コードBOOK』堀越昭宏著

『ピアニストのためのジャズ・コードBOOK』堀越昭宏著

この本はコード理論というより、「コードそのもの」を取り上げたものです。コードの響きやボイシング、コード進行例が掲載されています。

「ジャズ・コードBOOK」というだけあって、複雑なテンションを使ったコードを中心に掲載されています。

例えば、「C7(9,♯11,13)」なんていう複雑なコードの使い方っていうのはいまいち分かりづらいですね。

こういった複雑なコードのボイシングや、どういった場合に使えるかなどの情報が載っているので、ジャズ系の難しい音楽を目指している方にはオススメできます。

コードは「明るいコード」や「悲哀なコード」など、イメージ分けされているので、イメージとして捉えやすいです。

ただし、あまりジャズ系に興味がない人は特に必要はないのではないでしょうか。

最初の方にコードの基礎知識的なことが説明されていますが、この本でコードについて学習することはできません。

そのため、ある程度のコード理論に対して知識がある人が読むと良いでしょう。

『ジャズ・ピアニストのための コード・ヴォイシング・ワークブック』Philipp Moehrke著 [オススメ!]

『ジャズ・ピアニストのための コード・ヴォイシング・ワークブック』Philipp Moehrke著

コードを鳴らしてもジャズっぽく聴こえない、と感じておられる方は多いかと思います。やはりそれはジャズっぽく聴かせるボイシング(コード音の並べ方)を意識する必要があります。

こちらの本はそういったジャズ特有のボイシング方法を多種紹介しています。

3音で鳴らす場合、4音で鳴らす場合、片手で鳴らす場合、両手で鳴らす場合、トライアドを弾く場合、セブンスコードを弾く場合、テンションコードを弾く場合などなど、かなり細かくその状況に合わせたボイシング法が紹介されています。

サンプル音声(CD)も付いていますので、一つ一つ自分の耳で確認してみると、これはジャズっぽいなとか、これはそんなにジャズっぽくはないななど、色んな発見があるかと思います。

ところどころボイシング練習のコーナーがあって、コードネームに従って自分でボイシングをする(譜例に書き入れる)ところがあります。

本書の最後には解答例が付いていますので、実力が身に付きやすいのではと感じました。

また、最後の方にはジャズ特有のノリ(グルーヴ)についても解説されていますので、「ボイシング(どう鳴らすか)」と「グルーヴ(どこで鳴らすか)」の両面でさらにジャズっぽさを醸し出すことができると思います。

ジャズによく出てくるコードを使ってコード進行を作っているものの、なんとなくジャズっぽさが足りないという方はぜひこの本でジャズ特有のボイシングについて学んでみてください。

著者は外国の方ですが、日本語訳されていますので安心して読み進められます。ただ、5000円+税とかなり高めなのでそれが難点です・・・。

ピアニストに向けて書かれていますが、ピアノが弾けない方でもピアノロールでの打ち込みの際の参考に充分なるだろうと思います。

『はじめよう! ピアノでジャズ・レッスン』斉藤修著

『はじめよう! ピアノでジャズ・レッスン』斉藤修著

自分の曲に「ジャズっぽさ」を出したいということがあるかと思います。こういった「○○っぽさ」を出したい場合は、それに沿った教則本がオススメです。しかも、かなり初級用のものを。

「○○っぽさ」には、それなりにリズムにしろ、音の使い方にしろ、何かしら秘密があるわけです。

とにかくジャズってどういう風にできているんだろうとか、どうすれば「ジャズっぽく」なるんだろうとお考えなら、この『はじめよう! ピアノでジャズ・レッスン』をオススメします。

こういった教則本は、実際に弾くためではなく(もちろん、楽器を弾ける人は弾くためでも構いませんが)、あくまで知識を身につけるために購入しましょう。

この本にも、ジャズ特有のエッセンスが含まれており、ジャズっぽさを出すための参考になるのではないでしょうか。

CD付きですので、耳でそして目で確認できますね。

特に難しいジャズ理論は出てきませんので、初心者の方にもオススメできます。もちろん、理論を勉強すれば鬼に金棒ですが・・・。

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