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『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著

『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著

こちらは、ゲーム『テイルズオブ』シリーズの音楽や、「けいおん!」「らき☆すた」「涼宮ハルヒ」などのアニメ曲の作曲家として知られる田村信二さんの著書です。

「感覚で作って、頭で整えよ」というのを信条とされておられるそうで、最初はフィーリングで自分が良いと思って作ったメロディを基に、そこに工夫やアレンジを追加して音楽として整えていくという作曲法を提唱されています。

この本は「メロディ編」「コード進行編」「アレンジ編」と、3つに大きく分けることができます。

最初のメロディ編では、1~2小節程度のメロディの断片(モチーフ)を基に、それを発展させる方法について見ていきます。

音程差をつける、緩急をつける、上昇&下降などなど、モチーフのアレンジ法について解説されていますので、アレンジ法の引き出しが増え、いつもワンパターンになってしまうという方にとっては非常に参考になるかと思います。

「コード進行編」では、音楽理論的にリスナーが気持ちいいという伴奏を作ることをメインとしています。

基本的にはダイアトニックコード中心で解説されていますが、ところどころノン・ダイアトニックコードが入っており、これがどういうコードなのかまでは解説されていませんので、あまりノン・ダイアトニックコードについてご存知ない方は、実際にこのコードをどういう場面で使うべきか戸惑う部分があるかもしれません。

「アレンジ編」では各種楽器について言及されていますが、核となる部分のみであまり詳しくはありません。

後半にはAメロやサビ等のセクションの展開方法について解説されています。Bメロからサビへの移行や、サビ終わりの効果的なアレンジ法については非常に参考になるだろうと思います。

個人的には、メロディ先行で作るというのはある程度作曲経験のある方にお勧めできる方法です。

全く作曲経験のない方は、小節の感覚や調の感覚、終わり方の感覚というのがまだあまり理解できていないので、中途半端な小節数になったり、調を間違えてコードを付けてしまったり、しっかりとした終止感がないということが十分に起こりえます。

ですので、ある程度作曲経験のある方で、メロディから作曲する(発展させる)方法も勉強してみたいという人にはお勧めです。

また、この本の「自分に合った作曲法を見つけよう」というところで、メロディ先行型以外にもコード先行型や詞先行型など紹介されていますので、必ずしもメロディ先行型(著書流のやり方)のみが正しい方法とは思っておられず、著書自身も他の方法で作ることもあるようです。



『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著
『鼻歌からはじめる 即効作曲レッスン』田村信二著