ここでは音楽の土台を担うドラム・ベースに関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。
こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。
取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります
『ドラム・パターン大事典326』長野祐亮著 [オススメ!]
個人的に、作曲で一番大事にしているのが「リズム」です。リズムはメロディやその他楽器のフレーズにとても大きな影響を与えるからです。ある程度リズム(ドラム)パターンを知っていると、かなり作曲に差をつけることができます。
そこでおすすめなのが、『ドラム・パターン大事典326』です。
この本はドラムパターンの譜例と実際に演奏しているDVDが付いています。耳で、そして目でドラムパターンを確認することができます。
ジャンルも一般的な「8ビート」「16ビート」から「ロック」「ファンク」「ジャズ」「ブルース」など幅広く掲載されています。
ドラムに限らず、こういった楽器の教則本は作曲や編曲(アレンジ)にかなり役に立ちます。
別に弾ける必要はなく、DTMで自然な演奏を表現するために、とにかくドラムなどの楽器の知識を身につけるという感覚でみておきましょう。
ドラムループを利用するという手もありますが、まずはドラムってどういう構造か、そしてどんなリズムで演奏されるか、大まかなところのみを理解するのも必要ではないでしょうか。
そういった知識は、ドラムループを選ぶ際にも役立ちます。
『ドラム・フィルイン大事典413』菅沼道昭著
通常のドラムフレーズは作れるけど、フィルイン(おかず)はどう作って良いかわからないという方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?なぜなら、フィルインにはこれといったやり方みたいなものがないからです。
通常のドラムフレーズなら、1拍目と3拍目はバスドラム、2拍目4拍目はスネア、そして8ビートか16ビートでハイハットという、大まかな打ち込みポイントがあります。
しかし、フィルインはやり方によってはいくらでも考えられます。ただ、だからといって適当に作っても、はたしてこれであっているのかどうか?何となくで作ってみても、実際では物理的に再現できないなんてこともあり得ます。
そういった方に、この『ドラム・フィルイン大事典413』はお勧めです。
1拍もの・2拍ものなど、長さに分かれていて、DVD付属で実際に演奏しているところも観ることができます。
最初は、この『ドラム・フィルイン大事典413』の中にあるフレーズをそっくりそのまま使っても良いと思います。譜面付きですので、ピアノロールや譜面入力モード等で再現が容易です。
あまりフィルはジャンルに縛られることもありませんので、どれを選んでも正解だと思います。
※ただ、ハードロックなどかなり偏ったものは、ジャンルにあったそれなりのフィルインを選ばなければなりませんが・・・
一つこの本の難点が、オーディオのみのCDが付属していないというところです。フレーズを聴くためには、わざわざDVDをセットして、目的のところまでスタートを調整しなければなりません(大まかなチャプターはありますが)。
あとドラムについて一から学びたい方は、先ほど紹介した『ドラム・パターン大事典326』と両方購入した方が良いでしょう。
『ベース・ラインで迷わない本』板谷直樹著 [定番]
こちらはベース関連書籍の定番中の定番の本です。
販売当初一時期在庫がなくなったのか、書店では手に入りづらくなり、Amazonで定価を越える値段で取引されていたほどです。
※今は電子書籍版があるので、そういうことは絶対にありませんが
2部構成になっており、前半は「ジャコ・パストリアス」「マーカス・ミラー」「ジェームス・ジェマーソン」などなど、名ベースプレーヤーの特徴的なフレーズや奏法にフィーチャーして、それを著者が解説しています。
ベーシストの方なら憧れのペースプレーヤーが紹介されているかもしれません。
ジャンルとしては「BLUES」「FUNK」「JAZZ」「JAZZ FUSION」「LATIN」「ROCK」「R&B」となっています。
サンプル音声もありますので、わかりやすいのではないでしょうか?
後半はコード進行に対して、どのようなベースラインを作っていくかを見ていくという内容になっています。
著者がベースに必要な3つの要素として「良いリズム」「良い音」「良いライン」を挙げています。
この中の「良いライン」をどのように作っていくかを順を追って解説されていますので、バンドのベーシストやDTMでのベーストラックを作る際に役立つと思います。
ベースライン作りにはコレ!といっても良いくらいのものなので、1冊持っておいても損はしないでしょう。
『リズム・ハーモニー・メロディから解き明かすベース・ラインの手法』高橋 竜著
ベースは基本的にルート音を中心に鳴らせばよいのですが、やはりそれだけだとありきたり感があります。やはり色んなベースラインのレパートリーが欲しいものです。また、自分なりに作れればもっと良いです。
こちらの本は「リズム」「ハーモニー」「メロディ」の3つの側面からベースラインを作っていこうという内容になっています。
「リズム編」では、4ビート・8ビート・16ビートでのベースラインについてみていきます。
その他にも、スウィングやバスドラムとの連携、休符、シンコペーション、アクセントといった味付けでベースラインをアレンジしていきます。
「ハーモニー編」では、コードの構成音を意識したベースラインを見ていき、4度(11度)や6度(13度)、9度といったテンション系を使ったものについてもみていきます。
「メロディ編」では、ただ単に一定の動きを保つものではなく、ベースラインにもメロディ性を出すという部分について言及しています。
最後に「実践編」あり、「リズム編」「ハーモニー編」「メロディ編」で言及した部分を意識した、ジャンル別のベースライン例が載っています。
ベースラインを作るためのヒントが盛りだくさんで、掲載されているコード進行もたくさんあるので、個人的には非常に参考になる本でした。
この本が自分流のベースラインが作れる土台になることは確かです。
『ベース・ライン作りをイチから学べる111のアイディアとテクニック』山崎 洋著
こちらは、タイトル通りベースラインの作り方のアイディアを紹介する本になります。
ベースは基本的にコードのルート音を鳴らすことが中心になりますが、それだけではやはり味気ないです。そこで、ルート音以外の音も使ったベースフレーズを色んなアプローチから見ていく内容になります。
コードを意識したベースフレーズだけでなく、メロディも意識したベースフレーズにも言及されているので、バンドをやっておられる方、DTMでベースがいつも単調になりがちな方にとっては参考になる本だと思います。
基本的に1ページ1つの内容にまとめられているので読みやすく、譜例もありますし、またサンプル音源もあります(CDあるいはダウンロード形式)。
前半は割と音楽知識に関することが多く、後半から実際にベースフレーズを作っていくという流れになります。
ベースパートとしての役割や心構えなどもわかる内容になっているので、今一度ベースとはどうあるべきかを学べる内容で参考になると思います。
ちなみに、タイトルの「111のアイディアとテクニック」というと、111個のアイディアやテクニックがあるのかなと思ってしまいますが、111個の中には音楽知識(音符の長さや音程、コードの作りなど楽典的なところ)も含まれての数になっています。
ですので、ある程度楽典的な知識をお持ちでしたら実際の数としては幾分少なくなります。
『ベーシストのためのプロとアマを分けるミュート技術』前田“Jimmy"久史著 [オススメ!]
こちらは、「あえて音を出さない」という逆の視点から書かれた本です。
タイトルに「ベーシストのための」となっていますが、これはギタリストであってもボーカリストであっても意識すべきところといえます。
演奏の過程で余計な音が鳴ってしまうということがあります。やはりそれをしっかり切る(ミュート)べきだということを言及しています。
また、「ゴースト・ノート」の重要性にも言及しています。「ゴースト・ノート」というのはあえて音を出さずピッキングする(弦を弾く)ことです。
音が出ないのにピッキングする意味があるのか?という風に思えがちですが、演奏というのはやはりリズムが肝心です。
音の出ていないところで手が休みの状態になっていると、音を出すときにどうしてもジャストのタイミングから前後にずれてしまうことがあります。
そのため、手は休ませず、音を意図的に消すことでタイミングを損なわず演奏することが必要になります。
これが「ゴースト・ノート」です。「休符を演奏すること」という風に捉えることができます。
通常のベースの教則本は音を出すことに主眼が置かれていますが、あえて音を出さないという部分に言及した非常に参考になる本です。
実際の演奏者だけでなく、DTMでのベースの打ち込みでもぜひ取り入れたいテクニックです。
『ベース・ライン完全攻略』江森正敏著
タイトルからもわかるとおり、「ベース・ライン」の構築法について書かれているとわかる本ですが、中でも「スケール」に焦点を当てた本です。ここまで「スケール理論」にこだわった本は少ないと思います、
「スケール」と言えば、「メジャースケール」と「マイナースケール」が有名ですが、実はまだまだあります。
なんせ12個ある音を、どう辿っていくかによって何通りものスケールが考えられますね。
この本は完全上級者用です。スケール理論はメロディやフレーズ(モチーフ)作りにはとても大切な部分ですが、ただ単に良いメロディやフレーズが作りたいということで手にすると痛い目にあいます。
そのため、ある程度コード理論やモード/スケールに関して知識のある人におすすめできます。
タイトルに「ベース・ライン」とあるので、ベーシスト以外は意味のない本だと思われますが、スケールの知識はベースに限らず、歌メロ・ギターリフ(ソロ)などなど、色んな楽器で応用が利きます。
付属CDが2枚ありますが、バックトラックのみ収録されているだけで、肝心の譜例(ベース・ラインの動き)は収録されていません。
つまり、実際に演奏して確認するしかありません。
スケールに対して自信のある方は、知識向上のために読んでみてはいかがでしょうか?