Pro Toolsを忖度なしで勝手にレビューしてみました。Pro Toolsをご検討の方に参考になる部分がありましたら幸いです。
ProToolsの概要
【Pro Tools データ】
- メーカー:Avid Technology
- OS:Win / Mac両対応
- グレード:Intro / Artist / Studio / Flex
- 価格:永続ライセンス版やサブスクリプション版で多数の料金体系
- MIDI:ピアノロール / スコア(譜面)両対応
- オーディオ:入出力対応
- 総容量:15GB
- トラック数:MIDIトラック・オーディオトラック512トラック(Studioの場合)
- その他:フリートライアル版△(「Intro」で対応) / アカデミック版〇 / クロスグレード版×
※クロスグレード版についてはこちらをご覧ください - 初心者の方へのオススメ度(5段階):★★
Pro Toolsは次のような方にオススメ!
- レコーディングスタジオをよく利用する方
- 業界標準のDAWを使いたい方
- 一時的に他のDAWを使ってみたい方
- 経済的な余裕がある方
- サポートが充実しているDAWを使いたい方
Pro ToolsはアメリカのAvid Technology(アヴィッドテクノロジー)社のDAWです。
グレードは下位バージョンから「Intro」「Artist」「Studio」「Flex」で、「Flex」はレコーディングスタジオなど業務用グレードになっていますので、「Intro」「Artist」「Studio」の3つが一般ユーザー向けになっています。
Pro Toolsは元々指定のオーディオインターフェースを接続しないと使えないようになっていましたが、今ではそういった制約は撤廃され、またWindows版とMac版に対応していますので、業務用としてだけでなく幅広いユーザーに使われるようになりました。
通常の永続ライセンス(買い切り)版に加え、月額や年額で利用できるサブスクリプション版もあるので、ユーザーのニーズに細かく対応してくれます。
基本的に楽器が弾けない人はMIDI機能を使った作曲になることが多いですが、ピアノロール機能とスコア(譜面)機能両対応なので、楽譜が苦手な人でも得意な人でもスムーズに作曲に入っていけます。もちろん、オーディオ入力対応もしていますので、そのままレコーディングもできます。
トラック数はMIDIトラック・オーディオトラックそれぞれ512トラックまで(「Studio」の場合)となっているので大掛かりな作品でも安心です。
Pro Toolsの「推し」ポイント
ここではPro Toolsの良いところ(「推し」ポイント)を見ていきます。
レコスタで圧倒的に支持されているDAW
Pro Toolsの「推し」ポイントで一番大きいものは、やはりレコーディングスタジオで圧倒的に支持されているという部分です。
Pro Toolsには「HDX」という業務用のハードウェアがあり、こちらを使うことパソコンでは処理が追い付かないような多数のトラックでも扱えるようになりますし、低レイテンシ(録音時の遅れが少ない)でレコーディングが行えます。
レコーディングスタジオをよく利用する方はPro Toolsで作曲しておくと、レコーディングスタジオのエンジニアやアレンジャーの方との意思伝達もスムーズですし、ファイルの受け渡しもスムーズに行えます。
そういったことから、レコーディングスタジオをよく利用される方はPro Toolsを使うというのが一番効率的かもしれません。
操作性の充実
Pro Toolsはレコーディングスタジオ御用達ということで編集に重きを置いています。円滑な編集を行うにはやはり操作性の充実が追求されます。
今でこそ他のDAWでも見られるものが意外とPro Toolsが最初だった(ような気がする?)というものがあります。
例えばスマートツール。
こちらはツールを切り替えることなく複数の編集が同時にできる機能です。
また、画面が上下に分割して、クリップやピアノロール画面などをまとめて表示するワンウィンドウを導入したのもPro Toolsが最初だったと記憶しています。
その他、これは別にPro Toolsが最初というわけではありませんが、バージョン「2022.04」より待望のキーボードショートカットの編集ができるようになりました。
今まではPro Tools固有のキーボードショートカットを覚えないといけませんでしたが、このアップデートによりキーボードショートカットを自分好みにアレンジすることが可能になり、より操作性が充実しました。
今後のアップデートにより、ますます操作性が充実していくのではと、毎回のアップデートに期待が持てます。
無料版「Pro Tools Intro」がある
Pro Toolsには無料版として「Pro Tools Intro」が登場しました。
以前は「Pro Tools First」という無料版がありましたが、今回の「Intro」はサブスクリプション版のベースDAWという扱いになり、Pro Toolsのラインナップでの価値は高まったと言えます。
Pro Tools Introの主な特徴は次の通りです。
- 音源として「Air Xpand!2」と、1GB以上のループ素材が付属
- オーディオエフェクト・オーディオ編集機能付属
- 他社製音源も使用できる
- インストゥルメント / MIDI / オーディオトラックそれぞれ8トラックまで
- スコア機能可
ソフト音源として「Air Xpand!2」とループ素材が付属しています。また、イコライザやコンプレッサー、リバーブなどのオーディオエフェクトや、ノーマライズやリバースなどのオーディオ編集ツールが付属しています。
その他、詳しい付属プラグインについてはこちらからご覧ください。
他社製の音源やエフェクトも使えるようになっているので、好みの音源・エフェクトで作り上げることも可能です。
ただ、インストゥルメントトラック(ソフト音源を使ったトラック)・MIDIトラック・オーディオトラックそれぞれ8トラックまでになっています。MIDIやオーディオで分散させればある程度大掛かりな作品も作れそうです。
Pro Toolsの製品版はちょっと手が出せないという方はまずはこの「Pro Tools Intro」で操作感を試してみることをぜひお勧めします。
サポート体制が充実
これは個人的な経験ですが、初めてPro Toolsを使う場合、なぜかインストールがうまくいかないことがありました。そこでサポートを依頼しましたが、色々解決策を提示してくれました。
原因はこちらのセキュリティソフトによるもので解決はしたのですが、その後Avid社から「ちゃんと問題は解決しましたか?もしまだ解決していなければ遠慮なく言ってください」というようなメールを受け取り、ユーザーが解決するまでサポートをしっかりしてくれるんだなと非常に好感が持てました。
もし困ったことがあればぜひサポートをご利用ください。
Pro Toolsの残念なポイント
「推し」ポイントだけでは忖度しているみたいなので、残念なポイントにも言及していこうと思います。
Pro Toolsの一番大きな残念ポイントは、永続ライセンス版であってもサポート期間が1年と限定されており、継続的にサポートを受けようと思うとその度に追加費用がかかってしまう点です。
サポートが切れてもPro Tools自体はそのまま使えますが、Pro Toolsのアップデートはできなくなります。そのため、OSがアップデートした場合に突然Pro Toolsが動作しないということが起こりえます。
Pro Tools Studioの場合、サポートを1年継続するたびに24000円ほどかかります。しかも、一度サポート期間が切れた後に再度加入しようとすると43000円ほどに上がります。
実際のところ、そんなに何度もサポートを使うことはないと思うので、実質これらの費用は「アップデート代」と言っても過言ではありません・・・アップデート代で毎年24000円を払うのはかなりためらいます(他のDAWなら年換算で1万円弱)。
そういった点では「サブスクリプション版」で使い続けるの一つかなと思います。
ちなみに、サブスクリプション版 (月額 / 年額課金)の場合、契約期間が終了してもそのままPro Toolsは使えますが、無料版の「Pro Tools Intro」に自動的に変わります。
Pro Tools IntroではMIDIトラックとオーディオトラックが8トラックまでで、ある程度大掛かりな作品を作っていたら、一部のトラックが聴けなくなりますので注意が必要です。
Pro Toolsの総合評価(5段階)
ということで、Pro Toolsの総合評価は5段階中・・・
★★★
星3コです!
Pro Toolsはやはり業界標準というところでの安心感があり、またサポートも充実しています。操作性も高くて使いやすいDAWと言えます。
ただ、継続サポートを受けるなら毎年サポート代(実質アップデート代)を支払わなければならず、初心者の方にとっては大きな経済的負担となり得ます。
ですので、ある程度一般的なDAW(あるいは無料版のPro Tools Intro)で操作に慣れておき、そこから永続ライセンス版やサブスクリプション版を利用しても良いかなと思います。
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