Ableton Liveを忖度なしで勝手にレビューしてみました。Ableton Liveをご検討の方に参考になる部分がありましたら幸いです。
Ableton Liveの概要
【Ableton Live データ】
- メーカー:Ableton
- OS:Win / Mac両対応
- グレード:Lite / Intro / Standard / Suite
- 価格:Lite 無料 / Intro 10800円 /Standard 48800円 / Suite 80800円 (記事執筆時)
- MIDI:ピアノロールのみ
- オーディオ:入出力対応
- 総容量:76GB (Suiteの場合)
- トラック数:MIDIトラック・オーディオトラック無制限 (Standard / Suiteの場合)
- その他:フリートライアル版〇 / アカデミック版〇 / クロスグレード版×
※クロスグレード版についてはこちらをご覧ください - 初心者の方へのオススメ度(5段階):★★
Ableton Liveは次のような方にオススメ!
- クールなDAWを使いたい方
- 極力追加費用を抑えたい方
- ループメインの作曲スタイルを想定している方
- バンド系よりもダンス系の作曲がしたい方
- 自分の音楽感性に自信がある方
Ableton LiveはドイツのAbleton(エイブルトン)社のDAWです。
Windows版とMac版の両方に対応しており、海外ではユーザー数が一番多いDAWと言われていて、時代の先を行く“クールなDAW”というイメージが持たれています。ただ、日本国内ではCubaseやStudio One、Logic Proに比べてユーザー数は少ないです。
グレードは下位バージョンから「Lite」「Intro」「 Standard」「Suite」の4種類になります。このうち「Lite」は音楽機材に同梱されているもので市販はされていません。
価格はフラグシップモデルの「Suite」で80800円(記事執筆時)と、他のプロ用DAWに比べると割高になっています。ただ、ソフト音源やループ素材が非常に多く、今のところ全部インストールすると76GBほどになりますので、費用対効果については妥当なものと言えます。
基本的に楽器が弾けない人はMIDI機能を使った作曲になることが多いですが、Ableton Liveではピアノロール機能のみで、スコア(譜面)機能はありません。その他、オーディオ入力対応は可能なのでレコーディングができます。
トラック数はMIDIトラック・オーディオトラックは無制限となっているので、PCのスペックが許す限り大掛かりな作品でも安心です。
Ableton Liveの「推し」ポイント
Ableton Liveの「推し」ポイントはやはり「セッションビュー」でしょう。
セッションビューでは、ループ素材やフレーズを入れておくラック(クリップ)が用意されていて、そこに使いたいループ素材や自作フレーズをセットします。そして、DJ感覚でそれらを重ねたり省いたりしながら、自分の感性に身を任せて作曲していきます。
まさにAbleton Liveの名前にふさわしい、その時その時のライブ感覚を重視した作曲モードです。
特にどういう曲にしようか定まっていない場合に、とりあえずこのセッションビューで何となくループ素材や自作フレーズを放り込んで音を鳴らしていき、インスピレーションを高めるというのに最適です。
もちろん他のDAWにあるような、トラックごとにクリップ(DAWによっては”イベント”や"リージョン"と呼ばれるもの)を積み上げていって、緻密に作っていく「アレンジメントビュー」も用意されています。
Ableton Liveの残念なポイント
「推し」ポイントだけでは忖度しているみたいなので、残念なポイントにも言及していこうと思います。
他のDAWにも言えるのですが、特にこれといった大きな問題点はありません。
ただ、個人的な意見としては細かなショートカットキーのアレンジができず、やや操作性が悪い印象があります。
Ableton Liveには「キーマップボード」という、特定のコマンドを任意のキーに置き換えることができますが、あくまで画面上に表示されている部分のみです。
また、スコア機能がないのも個人的に痛いです。
特に楽譜入力に慣れている方や、後々楽譜にしたいという方はこの時点でAbleton Liveは選択肢から外れてしまいます。楽譜にするためにわざわざ別のDAWに取り込まないといけないのなら、最初からスコア機能のあるDAWを使った方が便利かもしれません。
あとこれはAbleton Liveが悪いわけではありませんが、「Rewire」の開発が終了してしまったのも痛いです。
「Rewire」というのは、簡単に言うとDAW同士を同期させる規格で、これまではあるDAWのプラグインとしてAbleton Liveが使えましたが(例えばCubaseの中でAbleton Liveを使う)、Rewire終了に伴いそれができなくなりました。
ですので、他のDAWではできないことをAbleton Liveで、Ableton Liveで足りない部分は他のDAWでという感じができず、Ableton Liveを使うなら完全にスイッチ(DAWを変更)しないといけなくなります。
Ableton Liveの総合評価(5段階)
ということで、Ableton Liveの総合評価は5段階中・・・
★★★
星3コです!
Ableton Liveの良さは音源やループ素材の多さです(「Suite」の場合)。付属の音源やループ素材でも十分クオリティの高い作品が作れそうです。
また何と言ってもライブ感重視の「セッションビュー」が搭載されているのも良いところです。ただ、割と感性重視の機能なので、感性主体の作曲に慣れていない人にとっては使いこなせず、Ableton Liveって使いにくい・・・と感じられるかもしれません。
ちなみにこのAbleton Liveの代名詞ともいえる「セッションビュー」は、今ではCakewalk by Bandlabの「マトリックスビュー」、Digital Performerの「クリップウィンドウ」、Logic Proの「Live Loops」という形で他のDAWでも同じようなことができるようになってしまっています。
ですので、Ableton Liveへの優先度が相対的に下がってしまったように感じます。
総合的に良いDAWとは言えますが、最初のDAWとしてはあまりオススメできないかなというのが率直なところです。
個人的には他のDAWでアレンジメントビューメインの作曲スタイルに慣れてからAbleton Liveを手に取っても遅くはないのかなと思います。
その他、Ableton Liveではチュートリアルビデオや、Ableton Liveを使って実際に作曲工程が見られる動画(Made In Ableton Live)が用意されているので、Ableton Liveではどんなことができるのか、またAbleton Liveでどういう風に作っていくのか参考になると思います。下記からご覧ください。
その他のDAWのレビューや、DAWに関するコラムについては下記からご覧いただけます。