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作曲初心者の方にMIDIキーボードをおすすめ”しない”ワケとは?

2022年9月10日

作曲初心者の方にMIDIキーボードをおすすめ”しない”ワケとは?

DTMの書籍を見ると、たいてい用意する機材としてMIDIキーボードが取り上げられています。

また、MIDIキーボードを使うと作曲が楽ですよ~という内容の書籍も多く見受けられます。

ただ、個人的に作曲初心者の段階でMIDIキーボードを使うことはおすすめできません。むしろデメリットの方が大きいと思っています。

ここではなぜ「作曲初心者の方にMIDIキーボードはおすすめできないのか?」について見ていきます。

理由1:”手癖”問題

あまり鍵盤楽器に慣れていない方は、「なんとなく」MIDIキーボード上に手を置きます。その「なんとなく」が重なってくと、それがいつの間にか自分の中でホームポジション(定位置)のようになります。

ホームポジションが決まってしまうと音の始まり方や動かし方もだんだんと固定されていきます。いわゆる”手癖”というものです。

作曲初心者の方にありがちな手癖例をいくつか見ておきましょう。

  • 始まる音がだいたい同じ
  • 最初の動き方がだいたい同じ
  • 音域の下限と上限がだいたい同じ

先程も言いましたように、鍵盤楽器に慣れていないと「なんとなく」手を置きます。ほとんどの方は右利きなので、やや右寄りの鍵盤に無意識に手を置いてしまいます。

また、作曲初心者の方で最初から黒鍵を使った作品を作る方は珍しいので、極力わかりやすく白鍵のみの「ドレミファソラシ」を使った音楽を作ろうとします。ですので、こちらもなんとなくドに親指を置いてしまいます。

ということで、だいたい下図のようなホームポジションが無意識に出来上がってしまいます。

鍵盤

手癖例1:始まる音がだいたい同じ

上図のようなホームポジションが決まったらどうでしょう?

やはり5本の指の中で一番動かしやすいのは親指になりますので、親指スタートの音使いになる可能性が高くなります。また、作曲初心者の方は上図のように大抵ドに親指を置いているので、どうしてもドからスタートするメロディになりがちになります。

手癖例2:最初の動き方がだいたい同じ

手癖例1に関連して、親指から第1音目をスタートすると、親指よりも下(左側)への移動が物理的にしにくくなりますので、どうしても次の音は上(右側)の音へ移動してしまいがちになります。

鍵盤

ですので、必ず1番目の音から2番目の音は上がるメロディばかりになり、始まりが似たメロディばかりになってしまいます。

手癖例3:音域の下限と上限がだいたい同じ

今度は手癖例2に関連して、親指よりも下には移動しにくくなっているので、常に親指の位置がメロディの下限になることが多く、音域も固定してしまいがちになります。

鍵盤

また、音域の上限についても、手が容易に届く範囲に集中する傾向にあります。

セクション(Aメロやサビなど)によってある程度の目安音域はあるものの、その目安音域ではなく、ホームポジションに沿った音域で作ってしまいます。

手癖は直りにくい

こういった手癖が一旦身に付いてしまうと、そこからなかなか抜け出せなくなってしまいます。

特に作曲初心者の方は一層手癖が直りにくい傾向があり、自分では毎回色々変えているつもりでもどうしても手癖に流されて、似たような曲を延々と作り続けるということが起こります。

同じような曲を何十曲作っても、それは「同じ1曲のパターン違い」を作っているに過ぎません

そういったことを防ぐためにも最初からMIDIキーボードを使うのはおすすめできません。

理由2:ドレミ~でしか作れなくなる問題

MIDIキーボードはピアノと同じ、大抵白鍵と黒鍵で構成されています。作曲初心者の方でなおかつ鍵盤楽器に慣れていない方は、どうしても白鍵が主(メイン)で黒鍵が従(サブ)という風に見てしまいます。

しかし白鍵が主で黒鍵が従になるのはKey of C(ハ長調)かKey of Am(イ短調)なので、こういう見方が固定化されてしまうと、この2つの調以外で作るのが難しくなってしまいます。

ピアノではわかりやすく色分けされているというだけで、白鍵も黒鍵も同じ価値の音だという認識ができないまま作曲経験を重ねてしまうことになりかねません。

理由3:音を柔軟に動かせない問題

MIDIキーボードでリアルタイムレコーディングしようとすると、どうしても伴奏のタイミングに合わせようとするため、小節や拍にガチガチに合わせようとしてしまいます。また、どんどん進んでしまう伴奏に付いていけず、細かい音の流れよりも一音一音が長めのざっくりとしたメロディになってしまうこともあります。

より自然なメロディを作るためには小節や拍にこだわらない柔軟な動きが必要ですし、細かい音の動きも必要になってきます。

さらに、タイミングに合わせることに意識が集中してしまうと、音の動きそのものへの意識が弱まってしまいますので、今までの手癖に流されて作ってしまうということが起こりえます。

最初は面倒でもマウス入力がオススメ!

ということで、作曲し始めは面倒でもマウス入力で作っていくのがオススメです。

ピアノロールビュー

ピアノロールビューでは物理的に手を置くことはないので、無意識に”ホームポジション”を作ってしまうことはありません。

また、上下の見える範囲も大きくなりますので、上下一方の動きに固定化されることも防げます。

さらに、ピアノロールビューでは多少白鍵と黒鍵部分での色の違いはあるもの、下図のように12音がフラットに並んでいるので、「白鍵=主」「黒鍵=従」という見方もしにくくなります。

ピアノロールビュー

ただ、小節線や拍の線が割と濃いめに引かれている場合が多いので、こういった線には沿ってしまいがちにはなります。マウス入力の際はそこに注意すれば非常に有益な入力方法と言えます。

MIDIキーボードはいつ頃使う?

ではいつになったらMIDIキーボードを使ってもいいんだ?と感じられるかと思いますが、個人的には最低でも20~30曲くらいはまずはマウス入力で作曲することをおすすめしています。

マウス入力で20~30曲くらい作れば割とレパートリー豊かな作品が作れるようになってくるでしょう。その状態ならMIDIキーボードを使っても、マウス入力時と同じくらいのレパートリー豊かな作品を作り続けられると思います。

MIDIキーボードに慣れてきたら、たまにはマウス入力に戻ってみるというのもオススメです

ただ、ドラムのように同じパターンを連続して作るような場合は、手癖を気にする必要はありませんので、最初からMIDIキーボードで作っていただいても大丈夫です。

特にドラムはベロシティ(音の強弱)への意識も大切になってきますので、マウス入力してしまうとのっぺりしたフレーズになってしまいますし、一つ一つの音のベロシティを調整していくのは非常に面倒です。

ですので、ベロシティタッチ機能のあるMIDIキーボードで強弱を付けながら入力していけば、自然な人間味のあるフレーズになります。

ベロシティ
ベロシティタッチ機能のMIDIキーボードで入力した場合

最後に

以上、作曲初心者の方にMIDIキーボードをオススメしない理由を見てきました。

現在MIDIキーボードを使用していて、何曲作っても同じように聴こえてしまう!という方がおられましたら、面倒でも一旦マウス入力に戻って作ってみてください。

そうすると手癖や固定化された見方から解放されて、より視野が広がりますので、これまでと違う作品が作れるのではと思います。

以上の内容が参考になりましたら幸いです。

ちなみに、各DAWにはパソコンのキーボードをMIDIキーボード代わりにできる機能(バーチャルキーボード)がありますので、DTMを始めたからといってすぐにMIDIキーボードを買わなくても良いです。

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