ここではギターを弾くにあたって必要な、「音名」「スケール」「調(キー)」といった音楽の基礎部分について見ていきます。
音名
アルファベットの音名に慣れよう
「音名」というと、「ド・レ・ミ~」を思い浮かべると思います。しかし、ギターでは「ド・レ・ミ~」をあまり使いません。
ドレミ~の代わりに、英語のアルファベットを使います。
具体的にいうと・・・
ド ⇒ 「C」
レ ⇒ 「D」
ミ ⇒ 「E」
ファ ⇒ 「F」
ソ ⇒ 「G」
ラ ⇒ 「A」
シ ⇒ 「B」
となります。
注意が必要なのは、「A」がドではなく、「C」がドになっているところです。
※元々は「A」がドだったんですが、紆余曲折を経て「C」がドになりました・・・
ギターではこのアルファベットの音名を使っていきますので慣れておきましょう。
ちなみに、ピアノの鍵盤でみると下図のようになります。
ドレミ~以外の音名
ピアノの白鍵をたどっていくときれいにCDE~となりますが、ところどころ黒鍵が挟まっています。この黒鍵部分を「派生音」といいます。
この派生音には個別の名前がなく、先ほどの7つの音名を目印として、記号を使って表します。
その記号が「♯ (シャープ)」と「♭ (フラット)」です。
「♯」は、元の音名より半音上げる時に使う記号。対して、「♭」は元の音名より下げる時に使う記号です。
では下の鍵盤図を使って、派生音を見ていきましょう。
①は、「C」からみると半音上の部分、「D」からみると半音下になります。そのため、①は「C♯」もしくは「D♭」になります。
②は、「D」からみると半音上の部分、「E」からみると半音下になります。そのため、②は「D♯」もしくは「E♭」になります。
③は、「F」からみると半音上の部分、「G」からみると半音下になります。そのため、③は「F♯」もしくは「G♭」になります。
④は、「G」からみると半音上の部分、「A」からみると半音下になります。そのため、④は「G♯」もしくは「A♭」になります。
⑤は、「A」からみると半音上の部分、「B」からみると半音下になります。そのため、⑤は「A♯」もしくは「B♭」になります。
ということで、結局は次のようになります。
スケール
スケールとは?
音楽で「スケール(Scale)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「スケール」というのは、先ほどの12コある音の中から「制約された音の並び」のことを言います。
音は多いほうが良いと思われがちですが、実は逆です。多いほどメロディや伴奏の選択肢が増えてしまい、到達点の見えない音楽になってしまいます。
そこで、12コの音からいくつかを選んで制約された音で作ると、作曲もしやすくなります。
たとえば、「どんな絵でもいいから描いて」と言われるのと、「電車の絵を描いて」と言われたのでは、どちらが描きやすいですか?
答えは「電車の絵を描いて」ですよね。「どんな絵でもいい」と言われると、選択肢がありすぎて作業が進みませんね。つまり、ある程度制限された方が輪郭がはっきりするということです。
では、本題に戻ります。音は制限した方がいいというのはわかっていただけたと思います。しかし、どんな音でもいいから選び出していては、それはそれで「まとまり」のない、ただの音の並びになってしまいます。
つまり、ある程度「意味のある」音の並びの方がいいわけです。
そこで考えられたのが、「メジャースケール」と「マイナースケール」という2種類の音の並べ方です。
では、その2つはどんな音の並びか見ていきましょう。
メジャースケールとは?
「メジャースケール」は、ある音(起点の音)と別のある音を同時に鳴らした場合、比較的明るく響くもの・比較的きれいに響くものを選んだ音の並びです。
たとえば「起点の音」を「ド」にした場合。「ド」と他の12音を順番に鳴らしていきます。
「ド」と「ド」
「ド」と「ド♯(レ♭)」
「ド」と「レ」
「ド」と「レ♯(ミ♭)」
「ド」と「ミ」
・
・
・
これを12音すべて同時に鳴らして聴いていきます。
ちなみに、こんな感じです。
そして起点の音と同時に鳴らした場合、明るく響く音・比較的きれいに響くもののみを選び出します。
そこで選び出されたものが、お馴染みの「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(・ド)」という音の並びです。
この音の並びを「Cメジャースケール」といいます。
「C」は「ド」のことです。つまり、「ド」を起点としたメジャースケールという意味です。
「メジャー」は音楽では「明るい」という意味で使われます。「有名な」とか「大きい」ということで、「メジャー」という言葉が使われているわけではありません。
ちなみに、「起点の音」を「ルート(Root)」といいます。
マイナースケールとは?
マイナースケールはただ単に、メジャースケールの6番目の音から並び替えた音の並びのことです。
「Cメジャースケール」の6番目は「ラ」です。
ド(1)・レ(2)・ミ(3)・ファ(4)・ソ(5)・ラ(6)・シ(7)
この「ラ」から音を並び替えると、「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ」になります。
これが「マイナースケール」です。
「ラ」から始まるマイナースケールなので、「Aマイナースケール」と呼ばれます。
音楽で「マイナー」というと、「暗い」という意味で使われます。つまり、メジャースケールの対極にあるのが、この「マイナースケール」です。
明るい音楽(希望・喜び・出会いなど)を目指すならメジャースケールで作曲する。暗い音楽(絶望・哀しみ・別れなど)を目指すならマイナースケールで作曲します。
いまいち、どこが暗いのかわからないという方もおられると思いますので、同じルート「A」を持つ、メジャースケールとマイナースケールを聴き比べてみてください。
【Aメジャースケール】
【Aマイナースケール】
なんとなく「Aマイナースケール」の方が暗く感じられませんでしたか?
調(キー)とは?
ある程度まとまりを意識した「メジャースケール」と「マイナースケール」。
このどちらかのスケール音のみで作曲すれば、当然楽曲全体もまとまり感が出てきます。
この楽曲全体のまとまり感を音楽では「キー(調)」といいます。
「調」という漢字は、「調和」や「協調」などのように、まとまりを表す言葉に付きますね。
メジャースケールで作られた音楽を「メジャーキー(長調)」、マイナースケールで作られた音楽を「マイナーキー(短調)」といいます。
スケールにない音を使って作曲すると、まとまり感が薄れてしまいます。
つまり、まとまり感のある作曲をするなら、あるスケールの音のみを使って、作曲しなければなりません(ただし、杓子定規にスケール外の音を全く使わないというのも、あまり面白みがない曲と言われますが・・・)。
では、例としてCメジャーキー(Cメジャースケール内の音のみでできた音楽)の伴奏と、Cメジャーを軸に少しキーから逸脱した伴奏を聴き比べてみましょう。
【Cメジャーキーの伴奏】
【Cメジャーキーから逸脱した伴奏】
若干、後の方が「まとまり感」がないように聴こえませんでしたか?
最初の伴奏と後の伴奏は、ほんの2~3音変えただけです。そのたったの2~3音で「まとまり感」が薄らいでしまいます。
これが「調」のチカラです。
では次回はギターで最も重要な位置を占める「コード(和音)」について見ていきます。
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【ギター弾き方&作曲講座 (理論編)】