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『DTMerのためのアレンジのお作法』藤谷一郎著
『DTMerのためのアレンジのお作法』藤谷一郎著
こちらの本は「ゆうやけこやけ」のシンプルなメロディを10ものジャンルにアレンジしていくというものです。
その10ジャンルとは・・・フォーキーポップス、エレクトロポップ、パンクロック、ボサノバ、エレクトロハウス、バラード、EDM、ジャズ、R&B、ブラジリアンハウスになります。
前半は、アレンジの基本的な考え方や、各楽器(ドラム・ギター・ベース・キーボード、ストリングス)の特徴や打ち込みポイント、楽曲の構成について言及されています。
中盤以降から各ジャンルで「ゆうやけこやけ」のアレンジをしていきます。
各ジャンルの特徴をわかりやすく説明されておられますし、その内容に沿ってアレンジされていますので、「それっぽさ」を出すヒントになる部分が多いはずです。
コード進行も各ジャンルに合ったようになっていますので、一つのメロディでこんなにコード進行が考えられるのか!と思われるはずです。
もちろん、サンプル音声も付属しておりますし、またMIDIファイルも付属しています。
ちなみにサンプル音声は、Native Instruments系、Real Guitar、Spectrasonics系、Logic Pro付属の音源やエフェクトが使われていますので、全く同じものを再現するにはそれなりの費用がかかりそうです・・・
本の中でもピアノロール画面や譜例が表示されている箇所がありますので、視覚的にもわかりやすいのではないかと思います。
難点なところは、割と音程に関する知識がでてきますので、音程について知らない人は難しく感じられるかもしれません。
また、ところどころ複雑なコードが出てきて、なぜそのコードが使えるのかなどはあまり詳しく説明されていません。
ですので、全く音楽理論について知らない人はすべてを理解するのは難しいかもしれません。
ただ、著者は音楽大学や音楽の専門学校に通ったことがないそうなので、独学で理解するというのもできなくはないかもしれません。
いろんなジャンルのエッセンスを知るという意味ではお勧めできる本です。