これまで「トライアド実践編」や「7thコード実践編」でコードフォームや、コード進行について見てきました。
ある程度ギターが弾けるようになったら作曲にも挑戦してみましょう。
今回は実際にギターを使って作曲していきます。
3つの作曲方法
そもそも作曲って何から(どこから)やるの?という方は多いと思います。
これは人それぞれで、これが一番という方法はありません。
大まかに分類すると次の3つのパターンがあります。
では1つずつもう少し詳しく見ていきます。
メロディ先行型作曲
まず1つ目が、鼻歌等でメロディを作ってからその他の楽器等を考えていくという方法です。
「作曲=メロディ作り」というお考えの方が多いので、一番オーソドックスな方法かと思います。
ただ、「メロディが浮かぶまで作曲ができない」「小節の感覚が身に付いていないと難しい」「そもそもその鼻歌がメロディとしてふさわしいか初心者ではわかりづらい」というデメリットがあるので、作曲初心者の方にはあまりオススメできません。
コード進行先行型作曲
2つ目が「コード進行先行型作曲」。
コード進行を元に、あらかじめ伴奏(カラオケ)を作っておいてからメロディを作っていくという方法です。
メロディ先行型のように、メロディが浮かぶまで待つ必要はありませんのですぐに作曲に取り掛かれます。
また、ガイドとなる伴奏があるのでメロディも浮かびやすいという点から、個人的には初心者の方におススメできる作曲法と言えます。
リズム先行型作曲
3つ目が「リズム先行型作曲」です。
実際のドラム音やドラムマシン等で、リズム部分を先に作っておきます。
リズムはメロディや伴奏にとても大きな影響を与える部分なので、リズムをガイドとしてメロディや伴奏、その他楽器フレーズを作っていくという流れになります。
こちらは、割とプロのプロデューサーの方に多い作曲法です。
ギターで実際に作曲していこう
以上3つの方法の中で一番ギターにふさわしいのは「コード進行先行型」と言えます。
そもそもギター自身がコード演奏主体の楽器なので、やはりコード進行先行で作っていった方が自然です。
ここでは次の流れで作曲していきます。
では早速作曲をしていきましょう!
ステップ1:コード進行を考える
ギターでの作曲手順、第1番目としてコード進行を作りましょう。
コード進行は基本的にはどう並べても自由です。ただ、ある程度弾いてみて自然な流れに感じるかどうかの判断は必要です。
ちなみに「Cメジャーキー」もしくは「Aマイナーキー」のダイアトニックコード(7thコード)は次のようになります。
- 「CM7」↓:ここから始めると「Cメジャーキー」のダイアトニックコード
- 「Dm7」
- 「Em7」
- 「FM7」
- 「G7」
- 「Am7」↓:ここから始めると「Aマイナーキー」のダイアトニックコード
- 「Bm7(b5)」
コード進行が浮かばないという方は、既存曲のコード進行を拝借するのもアリですし、当コンテンツで紹介しているコード進行例から一つ選びましょう。
ただ、実際に弾くとなったら当然コードチェンジがうまくできるコード進行に限られます。
ここでは、7thコードの「コード進行例4」で紹介した、「CM7」⇒「Am7」⇒「Dm7」⇒「G7」⇒「CM7」を使います。
このコード進行は「イチ・ロク・ニー・ゴー」と、名前が付いたコード進行でとても幅広く聴かれるコード進行です。
最初から凝ったコード進行にしようとせず、シンプルから始めるのが上達の近道です。
ステップ2:コード進行にリズムを付けてみよう
伴奏において、「リズム」の要素は大切です。
コード進行をそのまま1小節ごとに演奏していては、音が間延びして全くインスピレーションがわきません。
そこで、コード進行にリズムをつけます。方法としては、弦をかき鳴らす左手にリズムをつけるだけです。
【伴奏リズム:その1(元の状態)】
これは一番定番の1小節に1回ずつ爪弾くリズムです。今までのサンプルはすべてこのリズムで収録しています。
【伴奏リズム:その2】
「その1」を4分割したリズムです。これも一般的なリズムで、ジャズなんかではよく使われるリズムです。
【伴奏リズム:その3】
「その2」の最後に動きを持たせたリズムです。最後はダウンストロークとアップストロークで速く弾きます。
【伴奏リズム:その4】
もう少し動きを持たせたリズムです。
【伴奏リズム:その5】
これは「シンコペーション」というリズムを使ったパターンです。これも一般的な伴奏リズムです。
【伴奏リズム:その6】
これは「ミュート」と呼ばれる、音を消すテクニックを使ったパターンです。
方法としては、ミュートするところでコードを押さえている左手で全弦を軽く押さえます。そうすると、右手でかき鳴らしても音は出ません。
【伴奏リズム:その7】
「その5」に多少の変化をもたせた伴奏リズムです。
【伴奏リズム:その8】
これはポップス系によく使われる伴奏リズムです。
【伴奏リズム:その9】
すべてのコードを同じ伴奏リズムにする必要はありません。いろいろ伴奏リズムを取り混ぜた例を聴いていみてください。
ただし、コードごとに伴奏リズムを変えるとあまり「まとまり感」がなくなりますので、ある程度共通性を持たせるようにしましょう
ステップ3:メロディを考えよう
コード進行にリズムをつけたら、次はメロディを作りましょう。
先ほども言ったように、ただコードを鳴らしただけでは作りにくいので、リズムを付けたもので作っていきましょう。
ここでは「伴奏リズム:その5」を基に作っていきます。
メロディの作り方は多種多様ありますが、ここではギターを使いながら作っていきます。
手順1:出だしの音を決める
まず出だしの音を決めます。最初のコードは「CM7」ですので、そのコードトーン(ド・ミ・ソ・シ)のどれかにします。
コードフォーム「CM7」を押さえ、1弦1弦弾きながら、シックリくる音を1つ選びましょう。
ここでは、一番最高音の「E」音を軸にメロディを作っていきましょう。
手順2:出だしの音だけでメロディの輪郭を作る
では、今度は「E」音を伴奏リズムにあわせて、鼻歌等で口ずさみます。例えば次のようにします。
※声をピアノ音で代用しています
手順3:メロディにより細かな動きを持たせる
それでは、一本調子の「E音」だけのメロディに若干の動きを持たせてみましょう。
動きを出すには、1つ目は「音を加える」、2つ目は「音を変える」という方法があります。
それではまずは、音を加えましょう。次のように加えてみました。
若干メロディに動きが出ましたね。
では、今度はメロディの音を変えていきましょう。
メロディはほとんどの場合、隣の音へ進む傾向があります。つまり「E」音の場合、上の「F」音か、下の「D」音です。
こういった傾向を利用して、音を動かしていきます。
当然、隣の音へ進まないこともあります。隣の音へ進まない場合は、大抵他のコードトーンである場合が多いです。
ここでは次のようにしてみました。
手順4:他のコードでも同様に
同じ作業を、続く「Am7」「Dm7」「G7」上でも行っていきます。
どうするかには決まった答えがありませんので、自分の「心地よいライン」を探っていくような感じで作っていってください。
最終的に次のようにしました。
ドラムマシンや作曲ソフトをお持ちの方なら、ドラムに合わせるとより雰囲気が増します。
この方法で、Aメロ・Bメロ・サビごとに作っていくと、ギターで一曲が完成します。