今現在DTMをされている方の大半はおそらく、有線のイヤホンやヘッドホン、スピーカーを使って作曲をされているかと思います。
Bluetoothだと有線のわずらわしさから解放されて、もっと作曲がはかどるのになぁと感じたことはないでしょうか?
ここでは、そもそもBluetoothイヤホン(ヘッドホン)やスピーカーはDTMで使えるのか?について解説していきます。
結論:使えるがおすすめはしない
結論を先に言うと、一部のDAW(作曲ソフト)を除いてはBluetooth接続でも音が聴けるようになっていますので、Bluetoothイヤホン(ヘッドホン)やスピーカー使って作曲することは可能です。
しかし、おすすめはしません。
なぜならBluetoothは「レイテンシ」が大きいためです。
「レイテンシ」というのは、スマホやパソコンからBluetooth機器に音声データを送るときに生じるタイムラグのことを言います。
スマホやパソコンの操作と同時にBluetooth機器の音が鳴ったり止まったりするわけではなく、操作から少しずれて反映されるというのがポイントです。
レイテンシがDTMに及ぼす影響とは?
多少のレイテンシがあっても、再生や停止くらいなら特に問題はありません。
しかしDTMの場合、レコーディングの時はこのレイテンシがかなり問題になります。
なぜならBluetooth機器を使う場合、DAWの本来の再生状況からややずれた音を聴いてレコーディングすることになるため、ボーカルや楽器もずれてDAWに録音されてしまうことになります。
※しかもBluetoothではこのズレ(レイテンシ)が結構大きい
ですので、どんなにメトロノームや小節線のタイミングに合わせて録音しようと思っても、永遠に合わせられません。
Bluetoothのレイテンシってどれくらい?
Bluetoothのレイテンシは機器にもよりますが、標準的なもので「100ms(0.1秒)~200ms(0.2秒)」あたりで、低遅延モデルでも「40ms(0.04秒)」あたりといわれています。
「40ms(0.04秒)ならほとんど差がないじゃん」って思われると思いますが、DTMでは結構大きめです。
パソコンやオーディオインターフェースのスペック、使用するオーディオドライバ等の状況にもよりますが、私が使っているものの場合なら出力(再生時の)レイテンシは「1~3ms」くらい、入力(録音時)のレイテンシが「3~4ms」くらいです。
つまり有線のイヤホンやスピーカーを使っておけば、Bluetoothの1/10以下のレイテンシで済みます。
こう見るとたとえ低遅延モデルといっても、Bluetoothの40msはかなり大きなズレということがわかります。
このように、DTMでは伴奏に合わせてリアルタイムでレコーディングしないといけない機会も多いため、レイテンシの小ささが重要になります。
低遅延モデルのヘッドホンもある
実はヘッドホンで、「40ms」よりもさらに低遅延モデルのものもあります。
まず1つ目がオーディオテクニカの「ATH-EP1000IR」です。
レイテンシはなんと「1ms (0.001秒)」!
こちらはBluetoothではなく、赤外線を使用しているためこの低遅延が実現しています。
主目的としては楽器演奏用で、楽器演奏でも当然楽器を鳴らしてから(ピアノなら鍵盤を押してから)音が出るまでタイムラグが大きいと満足に演奏ができません。
ただ、こちらの商品の難点としては、充電が4時間で使用が5時間程度とエネルギー消費が大きいことと、無線で使用するならレシーバー(画像の右側にあるもの)が必要だという点です。
2つ目がYAMAHAの「YH-WL500」です。
こちらも楽器演奏目的で、レイテンシは「4ms (0.004秒)」以下とされています。
こちらも、無線で使用するならトランスミッター(画像の台座になっているところ)が必要だという点と、価格が4~5万円程度するというのが難点といえます。
まとめ
ということで、まとめです。
Bluetoothイヤホン(ヘッドホン)やスピーカーはDTMでも使えることは使えます。打ち込んだものを再生して聴くくらいならほとんど問題ありません。
ただしBluetoothのレイテンシ(タイムラグ)は比較的大きいため、レコーディングはうまくいきません。
ずれた音を聴きながらレコーディングすることになるので、いつまで経ってもDAWのタイミングに合わせられないという事態になります。
DTMでは基本的にレイテンシは避けられませんが、多少わずらわしくても有線のイヤホン(ヘッドホン)やスピーカーを使って作曲するのがおすすめです。
以上参考になりましたら幸いです。
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