DTMを始めるにあたって最初の難関、それは「横文字の専門用語が多くて理解できない!」というところではないでしょうか?
ここではDTMを始める上で、またこれからCubaseを操作するにあたってぜひ知っておいて欲しい専門用語について見ていきます。
DTMとDAWについて
まずは「DTM」と「DAW」について見ていきます。
文字の見た目が似ているのでややこしいですが、それぞれの意味について見ていきましょう。
DTMとは?
そもそも「DTM」という用語は「DeskTop Music」の略で、そのまま「ディー・ティー・エム」と読みます。
直訳すると「机上音楽」になりますが、”パソコンを使った作曲”を指す意味で使われています。
今では専用のレコーディングスタジオがなくても、その名の通り机の上にパソコンを置いて作曲ができる環境が整いました。
DAWとは?
ただ、パソコンだけがあっても何もできません。作曲ができるパソコンソフトが必要です。
その作曲ができるパソコンソフトを「DAW (Digital Audio Workstationの略)」と言います。
こちらもそのまま「ディー・エー・ダブリュー」と読みますが、「ダウ」とローマ字読みする方もいらっしゃいます。
MIDIとオーディオについて
DAWがあればパソコン作曲(DTM)ができるようになるのですが、DAWは絵画で言うところの画用紙みたいなもので、何の情報も入っていません。ただここに絵が描けます(作曲できます)よというだけです。
ですので、作曲するためにはDAWに音を入力していく必要があります。その入力方法として「MIDI」と「オーディオ」があります。
MIDIとは?
「MIDI」は「Musical Instrument Digital Interface」の頭文字をとったもので、「ミディ」と読みます。
簡単に言うと、電子楽器同士や、電子楽器とパソコンとの間でデータのやり取りをスムーズに行えるようにするものです。
例えばパソコンのキーボードで「d」と打つと、パソコン画面上にも「d」と入力されますね。
それと同じで、ある電子楽器である音を入力すると、他の楽器やパソコン上でも同じ音が入力(出力)される仕組みになっています。
MIDIで入力されたデータには、「音の高さ」「音の入力されたタイミング」「音の長さ」「音の強さ」などの細かな情報が含まれているので、他の楽器やパソコンでも忠実に再現できるというわけです。
Cubaseには電子楽器を使わなくてもMIDI入力が可能になっていて、MIDI入力用画面として「キーエディター」「スコアエディター」があります。また、ドラムフレーズ入力に特化した「ドラムエディター」もあります。
この中から自分にとって使いやすいものを選んで入力していきます。
キーエディターーで入力したものはスコアエディターやドラムエディターにも転記される形になりますし、逆も同じでスコアエディターで入力したものはキーエディターやドラムエディターへ転記されます。
Cubaseでのそれぞれの画面の見方や使い方については下記をご覧ください。
オーディオとは?
DAWではMIDI以外に、「オーディオ」も扱うことができます。
DTMで言う”オーディオ”というのは「音声(アナログ音声)がデジタルデータ化されたもの」です。簡単に言うと、目には見えない音声を目に見えるようにしたものです。
下図のようにオーディオは、波形になってCubaseに表示(見える化)されます。
DAWではそのオーディオ素材を取り込んだり、また実際の楽器演奏をICレコーダーやMTR等に録音するのと同じような感覚で入力(レコーディング)することも可能です。
MIDIとオーディオの決定的な違い
MIDIは単なる音の情報だけで、音声自体は入っていません。その音の情報(MIDIデータ)を読み取ってDAW側で音を出しているだけです。ですので、MIDIは後からでも内容を自由に変えることができます。
一方オーディオは、音声として形になってしまっているので、後から変えるのは容易ではありません。
他の例でいうなら、MIDIは「原稿」、オーディオは「原稿の内容を録音したもの」という風にみることができます。
原稿の内容は単なる文字の状態(MIDI)なのでいつでも変更が可能です。ただそれをすでに読んで録音(オーディオ)してしまったら変えるのはできません。
音源とエフェクトについて
Cubaseを始め、DAWで実際に作曲するにあたってよく出てくる「音源」と「エフェクト」について見ていきます。
音源とは?
先ほどの「MIDIとオーディオの決定的な違い」のところで、MIDI情報を読み取ってDAWで音を出しているという話をしました。
そうです、MIDIは単なるデータ(文字列)にすぎないので、MIDIのままだと音が鳴りません。ですので、このMIDI情報を読み取って音に変えてくれるものが必要です。
それが「音源」です。音源は簡単に言うと、DAW上で使える"バーチャル楽器"になります。
オーディオはもうすでに音声になっているので、音源がなくてもDAWで音が出る状態になっています。
音源には、「音源モジュール」と呼ばれるハードウェアのもの(電子機器)と、ソフトウェアになったものがありますが、今ではソフトウェアのもの(ソフトウェア音源)の方が主流です。
エフェクトとは?
音源とよくセットで使われる言葉として「エフェクト」があります。
エフェクトというのは音を加工してくれるものです。一番身近なものとしてEQ(イコライザ)があります。
よく音楽再生プレイヤー等の機能の中に「Jazz」や「Rock」「Pops」などジャンル名が書かれていて、目的のものを選択すると少し音が変わって聴こえてきます。
これがエフェクトの効果です。DAWにもこういった加工ソフトが付属しています。
ギターを弾かれる方はエフェクターを使ったことがあるかもしれませんが、それと同じようなものがソフトとしてDAWで使えるようになっています。
プラグインとは
ちなみに、ソフトウェア音源やエフェクトを総称して「プラグイン(ソフト)」と呼ぶ場合もあります。
これはDAWに機能を付け足す(拡張機能)というところから、プラグを差し込む(インする)ようなイメージでそういう名前になっています。
ソフトウェア音源やエフェクトは最初からDAWに付属していますが、プラグインソフト専門のものも様々なメーカーから出ています。
DAWとプラグインソフトは別個のものなので、そのままだとDAW上では使えません。ですので、DAWとプラグインソフトをつなげる必要があります。
そのつなげるものとして主なもので「VST (Virtual Studio Technology)」「AU (AudioUnits)」「AAX (Avid Audio eXtension)」があります。
このうち、Cubaseで採用されているプラグイン規格は「VST」なのでで、「VST」に対応していない音源やエフェクトはCubaseでは使えません。
トラックとイベントとは?
トラックとは?
DAWに音を入力するとなった場合、ボーカルもギターもベースも一つにまとめてごっちゃにしてしまうと個別で編集できなくなっています。
ですので、それぞれのパートごとに「トラック」と呼ばれる枠(レーン)に分けて音を入力していきます。
MIDIやオーディオデータがトラックで仕切られているため、ボーカルだけ・ピアノだけというように、それぞれ個別にアレンジすることが可能です。
MIDI入力用のトラックを「MIDIトラック」、オーディオ入力用のトラックを「オーディオ(AUDIO)トラック」と言います。ちなみに、ソフトウェア音源を利用する場合のMIDIトラックを「インストゥルメントトラック」と呼びます。
トラックの作り方や編集方法については下記を参考にしてみてください。
イベントとは?
トラック上に音を入力していくと、その入力された音やフレーズの長さに応じて枠が作られます。
この枠をCubaseでは「イベント」と呼んでいます。
オーディオデータの場合は「オーディオイベント」、MIDIデータの場合は「MIDIイベント」が作成されます。
このイベントがあることでフレーズ単位で細かくデータを管理できるので、目的のフレーズが探しやすくなったり、またフレーズの繰り返しがしやすいといったメリットがあります。
レイテンシとオーディオインターフェースについて
実際の演奏をレコーディングする場合、パソコンのマイク端子から行うのはかなり難があります。
なぜならパソコンがマイク端子から入ってきた音を処理するのには時間がかかり、処理をしてからその後にCubase内に反映されるため、どうしても入力と出力のタイミングのズレがおきてしまいます。
こういったズレを「レイテンシ」といいます。
そこでこのレイテンシを極力小さくしてくれるのが「オーディオインターフェース」と呼ばれる機械です。
音の情報処理をこのオーディオインターフェースに任せることで、パソコンはCubaseの処理に集中できるので、タイミングのずれもほぼ解消されます。
以上、DTMにまつわる重要な専門用語について見てきました。
この内容を理解できればおそらくDTMやDAWの解説書を読んでもスムーズに理解できるのではないかと思います。
参考になりましたら幸いです。