何曲か作っていると、だんだんと何を作っても良く感じず、作っては消す、さらに作っては消すというサイクルに陥ってしまうことがあります。
いわゆる“スランプ”というやつです。
ついには作曲自体がつまらないと感じ、作曲に挫折してしまった、もう作曲を辞めてしまったというご経験をされた方も多いかもしれません。
こういったスランプに陥った時にぜひ次の5つのことを意識してみてください。
- とにかくフルコーラス完成させる
- 「駄作を作る」と考える
- 自分が作りやすい曲をひたすら作る
- 「シンプル」な作品を心がける
- 他の人の作品と比べない
それでは1つずつ詳しく見ていきます。
1:とにかくフルコーラス完成させる
作曲スランプに陥っている方に共通するのが、作品の断片ばかりを作ってしまうというものです。
サビだけ、Aメロだけ、イントロだけ、コード進行だけなどなど。あなたももしかするとそうではないですか?
こういった作品の断片をいくら作っても意味がありません。
たとえ途中で気に入らなくなっても、とにかくフルコーラスまで完成させましょう。
「それでもなんとか完成させた」という成功体験は、スランプを脱するのに効果的です。
また、「自分の作った作品が気に入らなくなる」というのは自分が成長した証です。
作曲を始めた当初は、全然つたないながらもフルコーラスを完成させられただけでうれしく、感動したはずです。
「フルコーラスを作るだけでは満足できないくらい自分は成長した」ということを認めてあげて、たくさん自分を褒めてあげましょう。
2:「駄作を作る」と考える
やっぱりどうしても自分の作品に対して厳しい目を持ってしまう方は、「良い作品を作ろう」という気持ちが強すぎるかもしれません。
そんな時は「良い作品を作ろう」と考えるのではなく、「駄作を作ろう」と考えてみましょう。
駄作を作ることが目的なので、むしろ良い作品を作ってはいけません笑
「こんな曲、全然あかんわ~」と思える曲が作れたら目的達成です、おめでとうございます。
そう考えるとフルコーラスを作るのもかなりハードルが低くなるんじゃないでしょうか?
ちなみに、私の作曲ファイルを保存しているフォルダ名は「駄作集」です笑
でも、「こんな曲、全然あかんわ~」という曲を何曲も作って意味があるの?って思いますよね。
その気持ちわかります!
ところであなたは、巷の音楽ランキングで「なんでこんな曲が上位に入っているんだ!」と感じることはありませんか?「こんな曲なら自分の作った曲の方がマシだ!」と怒りを覚えるような曲が。
はい、良い曲かどうかを決めるのは自分ではありません。あくまでリスナーです。
「こんな曲、全然あかんわ~」という作品の中にもきっと誰かがこの曲最高!って言ってくれるような作品がまじっているかもしれません。
ですので、(リスナーから見た)良い曲を作る可能性を増やすためにも、たとえ「こんな曲、全然あかんわ~」という曲であってもコツコツと作り続けることが大切です。
3:自分が作りやすい曲をひたすら作る
スランプを抜け出そうと、とにかく色んなテンポやキー、ジャンルなどに手を出して作ろうとしてしまう方がいらっしゃいます。
しかしスランプの時は、「自分が作りやすい曲」をひたすら作るようにしましょう。
あなたが作りやすいと感じる曲は、テンポ・キー・コード進行・ジャンルなどの特徴がだいたい決まっていると思いますが、それらが何曲も同じか似たものであっても気にしなくて大丈夫です。
先ほども言いましたように、やはり「曲を完成できた」という成功体験がスランプを脱する契機となります。
あと、今はこんな曲が流行っているから自分も作ってみようと思わない方が良いです。
別にスランプでも何でもない時に慣れていないジャンルで曲を作るのは自分のスキルアップには役立ちますが、スランプの時に慣れていないジャンルの作品を作っても完成できない可能性が高まります。
「やっぱりできなかった」という経験が増えると、どうしても自分の能力に対してマイナスな思いを持ってしまいます。
ですので、今自分が作れる曲を作ることに専念しましょう。
4:「シンプル」な作品を心がける
作曲スランプに陥る方はそれなりに音楽理論の知識が豊富だと思います。
音楽理論の知識が豊富な人によくありがちなのが、得た知識を何とか使いたいという気持ちが強いのか、同じ1曲の中に大量の凝ったアイディアを盛り込んでしまうというものです。
あれこれ趣向をこらしすぎると互いにそれぞれが交錯してしまい、わけのわからない作品になってしまうことが往々にしてあります。
そうなると自分でも手に負えなくなり、結局途中までしかない曲が大量に出来上がってしまうという結末を繰り返します。
ですので、アイディアを盛り込みすぎないように、作曲スランプに陥った時は極力「シンプル」な作品を心がけましょう。
作曲は自分の知識の豊富さをアピールする場ではありません。
リスナーはその音楽に隠されたトリックにそこまで興味はなく、やはり自分の気持ちを代弁してくれているのか?を見て(聴いて)います。
ちなみに、Sam Smith (サム・スミス)というアーティストの「Stay With Me」という曲は、 全体の約90%ぐらいはたった3つのコード(「Am (Am7)」「F」「C」)でできていて、なおかつ2小節1まとまりのほぼ同じコード進行が延々と続きます。
こういったシンプルな構成でもリスナーの心をとらえることは可能ですし、またこういった曲は世界にごまんとあります。
何も複雑なことをする必要はなく、シンプルでも構わないということを教えてくれる最良の教科書です。
宜しければ、ぜひ聴いてみてください。
5:他の人の作品と比べない
他の人が作った曲を聴くとやはり自分の作品とは全然違っていて、それで落ち込んでしまうということがよくあります。
しかし昔から「隣の芝生は青い」というように、他の人のものはなんでも良く見えて(聴こえて)しまうものです。
おそらくあなたの作品を聴いたら、同じ思いをする人も多いはずです。
また、プロが作った作品と自分の作品を比較するのも意味がありません。
よく考えてみてください。
相手はプロで、場合によっては数人の作曲家・アレンジャー・エンニジアが関わってその曲が生まれています。
そんな人たちに自分一人がかなうわけはありません。そもそも土俵が違います。
本当に良い曲ならシンプルな弾き語りでも十分魅力は伝わります。
ですので、初めからプロ顔負けの作品や荘厳な作品を作ろうとするのではなく、まずはコード・メロディ・リズムを中心とした基本の軸に集中してみましょう。
さいごに:もう一度トライしてみよう
作曲スランプに陥ると、作曲をしようという気も失せ、DAWの画面を見るのも嫌になるくらいです。
それはおそらく「結局中途半端な作品が出来上がるだけで、どうせ徒労(無駄な努力)に終わるだろう」と、悪い予想をしてしまうからだろうと思います。
「タイパ(タイムパフォーマンス)」が声高に叫ばれる時代に、時間をかけたのに徒労に終わるというほど絶望的なものはありません。
しかし、作曲自体を辞めてしまったら、音楽理論の習得に要した時間や、DAWの使い方の習得に要した時間など、これまで作曲にかけてきた時間すべてが水の泡になり、それこそ徒労になってしまいます。
ですので、たとえ小さな一歩でも、もう一度トライしてみませんか?
では、ここで紹介した「作曲スランプの時にやるべき5つのこと」についておさらいしておきましょう。
- とにかくフルコーラス完成させる
- 「駄作を作る」と考える
- 自分が作りやすい曲をひたすら作る
- 「シンプル」な作品を心がける
- 他の人の作品と比べない
もし全く作曲する気になれない、DAWを立ち上げる気にもならないという場合は、“写経”から慣らしていくのもおすすめです。
写経については下記に詳しく書きましたので、ぜひ合わせてご覧ください。