明確ではない音高(ピッチ)の基準

普段聴きなじみのある「ドレミ・・・」ですが、実はドレミをどのくらいの高さにするかについて、明確な基準はありません。

ピアノ

一応世界標準として「”中央のド”の上にあるラ(DTMでは一般的に「A3」の音。楽典的には「A4」。)を440Hz(ヘルツ:周波数)」にするということになっていますが、明確にこうであるべきというわけではありません。
※「中央のド」というのは、ピアノに正対した時にちょうど真ん中にあるドのこと。

A3の音を440Hzにした場合、1オクターブ上のA4は倍の『880Hz』、1オクターブ下の「A2」は1/2の『220Hz』になります。

それを基に他のドレミの音の高さが決まってきます。

ちなみに、時報の「ピッピッピッピー」はラの音になっていて、最初のピッピッというところが440Hz、最後の高くなるピーが880Hzになっています。

ただ、時代やジャンルによって基準となる周波数が異なり、今では「440Hz」か「442Hz」が中心になっています。日本のオーケストラやピアノコンサート等ではどちらかというと「442Hz」の方が主流と言えます。

それでは「A=440Hz」と「A=442Hz」のドレミ・・・を聴き比べてみましょう。

【A=440Hz】


【A=442Hz】


おそらくほとんどの方は差があるようには聴こえなかったのではないかと思います。

ただ、絶対音感を持った人からすると、このわずかの周波数の違いも聴きとれるようです。

A=440Hzを基に絶対音感を身につけた方はA=442Hzのドレミが気持ち悪く感じますし、A=442Hzを基に絶対音感を身につけた方はA=440Hzのドレミが気持ち悪く感じます。

なぜ世界標準がA=440Hzなのにこういった違いが出てしまったかというと、音は高い方が華やかに聴こえる傾向があって、A=440Hzでチューニングされた音楽よりも、A=442Hzの方が無意識にでも華やかに聴こえます。

折角なら自分たちの音楽を華やかにしたいというのが人情ですので、より高く、さらにより高くする傾向があり、楽団によってもバラバラになってしまい、A=440Hzという標準はあくまでお飾りのようなものになってしまっています。