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【作曲ブックレビュー】ギター編

【作曲ブックレビュー】ギター編

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ここではギターに関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『3音でギターを制覇するトライアド・アプローチ』トモ藤田著 [オススメ!]

『3音でギターを制覇するトライアド・アプローチ』トモ藤田著

著者のトモ藤田さんは、世界のミュージシャンが集まる「バークリー音楽院」の講師をされている方で、ギターに関する著書も多く、まさにその道のプロです。

ギターというのは6弦あるので、最高で6音出すことができます。ただ、音が多ければ多いほど濁る可能性が高くなります。

ギターだけならまだしも、これにピアノやストリングス、ブラスなど加わっていきますので、余計に濁ってしまいます。

そこで、ギターはシンプルな「トライアド(3音)」で伴奏していこうというのがこの本の趣旨です。「たったの3音だけで大丈夫?」と思われがちですが十分です。

押弦ポジションをある程度設定して、コードが進行してもできるだけ動かさないようにする方法をとって説明されています。

こういったことは、音楽理論の「ボイシング」にも共通する部分ですね。

難解な「アッパー・ストラクチャー・トライアド」にも言及されています。わかりやすく説明されているので安心です。

ただ、あくまでギターのみでの「アッパー・ストラクチャー・トライアド」なので、ピアノなど他の楽器を用いた場合の「アッパー・ストラクチャー・トライアド」には言及されていません。

音源CDが付いていますので、わかりやすいと思います。ただ、トモ藤田さんはどの書籍でもコテコテの関西弁(京都弁)で話されているので、違和感があるかもしれません。

『ブルースで覚える大人のコード・ワーク』山口和也著

『ブルースで覚える大人のコード・ワーク』山口和也著

「大人の」という文言に惹かれて購入してみました。別に変な意味ではありません・・・

「ブルース(正式にはブルー)」は、ロックやジャズ、R&Bなど多様なジャンルの先祖ですけど、あまり接点がないというかたはたくさんいらっしゃるかと思います。

個人的には「ブルース」は音楽の基礎であると思っていますので、ブルースについて学習価値ありです。

ちなみに、ブルースは「ブルース進行」と言って、12小節で一くくりになっていて、ある程度コード進行も決まっていますので、ギター初心者の方の練習曲としてはお勧めです。

で、この「大人のコード・ワーク」というタイトルのように、どこが「大人」なのかというと、一般的なトライアドに多少装飾したコードを使うところです。

たとえば、「7thコード」「6thコード」「add9th」「augコード」「dimコード」「sus4コード」などなど。

何が何でも決まったコード・フォームを使うのではなく、自分でコード・フォーム(ボイシング)を作っていくことの大切さを説いていらっしゃいます。

そのためには、このコードにはどんな音で成り立っているか、物理的に可能なコードフォームにするには、どの音を押さえなければならないかを知っておく必要があります。

音楽理論的な詳しい解説はあまりないので、ある程度初級程度の理論を知っておくと、より理解が深まると思います。

『ファンクで覚える大人のカッティング』山口和也著

ファンクで覚える大人のカッティング

先ほど紹介した『ブルースで覚える大人のコード・ワーク』の山口和也さんが書かれた本です。

ギターの「カッティング」をご存知でしょうか?「カッティング」というのは、リズムよくギターバッキングすることです。

つまり、コードの和音感とリズム感の両方を全面に出す奏法を言います(どちらかというとリズム重視ともいえます)。

『ファンクで覚える』というタイトルからもわかる通り、ギターカッティングは主に「Funk」ミュージックで使われます。James BrownやChicなどのファンク系ミュージックでは必ずと言っていいほどギターカッティングがされています。

こちらの本はコードカッティングだけでなく、単音カッティングにも言及されています。

奏法を一つずつ細かく解説されているわけではありませんが、ギターカッティングに大切な手のフォームは写真付きで紹介されています。

サンプル音源もカッコよく、練習するのも楽しくなるでしょう。

五線譜やタブ譜、あとドラム譜が載っているので、ギター奏者だけでなく、自作曲にFunkっぽさがほしいという時に役立つ、アレンジ本としても使えます。

『フラメンコ・ギターの教科書』池川寿一著

『フラメンコ・ギターの教科書』池川寿一著

当スクールの「ベーシックコース」の生徒さんで、フラメンコギターをされている方がおられました。ある意味その方に触発されて「フラメンコギター」について学んでみたいと思うようになりました。

個人的にもこれまで、自作曲にエキゾチック(エスニック)な香りが欲しいなぁと思っていました。

しかし、生徒さんに「フラメンコはよくわかりません」というつれない返事をしてしまっては失礼なので、思い切って勉強してみようと思いました。

DVDとTAB譜つきなので、手に取りやすくわかりやすい内容になっています。

フラメンコがフラメンコたらしめるのは、やはり独特のリズムだと思います。そのフラメンコ特有のリズムについても言及されています。
※「リズムは音楽を支配する」と個人的には思っています

フラメンコは「スパニッシュ8ノートスケール」だという認識がありましたが、実は通常のメジャースケール/マイナースケールでも演奏されることを初めて知りました。

この本ではスケールについての言及はほとんどなく、大半が「バッキング」に終始しています。

また、こちらの続編である『フラメンコ・ギターの教科書2(レパートリー強化編)』ではさらに豊富な奏法、ソロギター等にもさらに踏み込んで解説されています。

もちろんこちらでもDVD付きになっていますので、わかりやすさは引き継がれています。

この2冊があればかなりフラメンコ通になれるのではないかと思います。

『ひと目でわかるギターコードブック』鈴木渡著 [オススメ!]

『ひと目でわかるギターコードブック』鈴木渡著

最近ではギター専用音源(Real GuitarやAmple Guitarなど)を使うと、ギター特有の奏法やストロークを自然に再現できるようになりました。

しかし、一昔前までDTMでギターを再現するには、一音ずつMIDIで打ち込んでいかなければなりませんでした。そこで一番困るのがギター特有の「ボイシング」です。

ギターはピアノのように3度ずつ積み重ねればいいというわけではありません。特に気にせず打ち込んでいた方もおられるかもしれませんが、リアルなボイシングではないので、ギターらしさが感じられないことがあります。ギターには、ギターの構造ならではのボイシングがあります。

そこで、ギター特有のボイシングが五線上に載っている本が必要です。

その時に使っていたのが、この『ひと目でわかるギターコードブック』です。

今はMIDIでギターバッキングを作っている人はどれくらいおられるんでしょうか?

おそらくあまりいないと思いますが、MIDIでギターをリアルに表現したい場合は、この本に載っているギター特有のボイシングをチェックしてみてください。

ただ、ギターアルペジオを表現したい時には今でも使えるかもしれません。

『アンプ&エフェクター入門』浦田泰宏著

『アンプ&エフェクター入門』浦田泰宏著

ギターアレンジで避けて通れないのが「エフェクト」です。

エレキギターは通常、「アンプ」や「エフェクター」という機械を通して音を加工します。時にはエフェクターを使って、音を整えることもあります。

エフェクトの種類はたくさんあって、初心者の人にとってはどれを使えばよいのかわからないはずです。

代表的なものが「コンプレッサー」「イコライザ」「ディレイ」「リバーブ」、その他ギターでよく使われるものに「ワウ」「ディストーション」「フェイザー」などなど。

また、その設定方法(エフェクトのかけ具合)も曲調などによって異なりますので、余計に複雑に感じます。

そういった場合に、こちらの『アンプ&エフェクター入門』は役立ちます。

複数あるエフェクトを一つずつ紹介し、エフェクトをかける前とかけた後の違いがCDに収録されているので、比較しやすいです。

さらに接続方法や注意点なども掲載されています。

最近のDAWではアンプシミュレータ(アンプやエフェクターをソフト化したもの)が付属しており、複数の音色がプリセットとして入っているので、ある程度耳だけで曲調に合うかどうかの判断ができるでしょう。

ただ、設定等についての知識があると、細かく楽曲に合わせて音色を調整できるので、より楽曲に合ったギタートラックが作れるのではないかと思います。

自作曲にギタートラックを入れたい方はぜひ参考にしてみてください。

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