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【作曲ブックレビュー】読み物・雑学編

【作曲ブックレビュー】読み物・雑学編

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ここでは読み物系・雑学系に関する本のレビューをしていきます。定番の本には見出しに[定番]、おすすめの本には[オススメ!]としています。

こちらの記事をきっかけに、あなたに合う1冊が見つかれば幸いです。

取り上げている書籍の中にはすでに絶版のものが含まれている場合があります

『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』仰木日向著 [定番]

『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』仰木日向著

最近「まんがでわかる」と名の付く本が増えてきたように感じます。まんがなら難しい内容もわかりやすいでしょうし、細かな字を追うより楽です。また、「もしドラ」以降ストーリー仕立ての学術系の本も何かと目にします。

そんな中でとうとうストーリー仕立ての作曲本が出てきました。それが『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』です。

理論書と中古のキーボードを買ったものの作曲に挫折してしまった主人公の「山波いろは」が、同級生で天才作曲家の「黒白珠美」に作曲を教えてもらうという内容で、最終的に14日で曲を完成するというお話です。

「14日」といっても、映画を見に行ったり、耳コピをしたり、途中山波いろはが挫折してしまうというところがあるので、実質はもう少し少ないです。

こちらで解説されている作曲の手順は、まずは音楽のイメージを浮かべることを第一としています。

そして、「そのイメージに合ったメロディを作る⇒ベースを作る⇒ハーモニーを作る⇒ドラムを作る」という流れです。

この手順こそが作曲のスタンダードというわけではありませんが、同じような手順で作曲されている方は参考になるかもしれません。

ただ、メロディから作るという方法は、そもそも自分の作る音の流れがメロディになっているのかの判断ができないと難しいです。黒白珠美のように身近に教えてくれる人がいれば良いですが、ほとんどの方はそういった方が身近にいないので玄人向きと言えます。詳しくは下記をご覧ください。

この本はあくまで作曲ができるようになった道筋を見るというもので、この本で作曲が学べるというわけではありません。

ところどころ理論的な部分に言及していますが、この本は「理論(書)なんて必要ない」というスタンスですので、ほとんど詳しい説明はありません。

ですので、作曲を学ぶというより、あくまで作曲ができるまでの過程を見る本としてとらえた方が良さそうです。

ただ、”難しい理論書を理解できるのは曲を作れるようになってから”、”ルールを知っているから間違えることができる”など、なるほどと言えるところもありましたので、これから作曲を始める方、作曲に行き詰まった方は何かしらのヒントが見つかるかもしれません。

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『吉松 隆の調性で読み解くクラシック』吉松 隆著 [オススメ!]

『吉松 隆の調性で読み解くクラシック』吉松 隆著

元々は『「運命」はなぜハ短調で扉を叩くのか?』という単行本だったもので、それを文庫化したのがこちらの本です。

こちらの本は音楽の「調(キー)」を中心として扱う珍しい内容になっています。

音は全部12個ありますが、その中の7音でグループを作ります。そのグループが「調」で、代表的なものが「ドレミファソラシ」のハ長調です。

調は全部で、明るい調12種類と暗い調12種類の計24種類(異名同音の調は除く)ありますので、やはり複雑な印象がありますが、こちらの本は調の入門書という位置づけにあって、読みやすい内容です。

そもそも「調性とは何か」という部分から始まって、過去の作曲はこの24種類の中からどのように調を選んだのかなどの考察があります。

また、科学的な見地からどのように調性というものが出来上がっていったのかについて見ていきます。

ところどころ雑学的な部分もあり、音楽について詳しくない方でも楽しめる内容に感じました。

最後の章では24の調一つずつに性質やキャラクター、代表曲、向いている楽器が紹介されていて、音楽を聴くという点からも参考になることが多いと思います。

内容としては全体としてクラシック寄りですが、自作曲の際に調を選ぶ一つの参考になりそうな本です。

『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』古屋晋一著

タイトルは理系の難しそうな感じですが、内容としては読みやすかったです。

元々ピアノの弾き方や体の使い方について興味を持っていた著者が、大学時代にピアノの練習により手を痛めてしまったことをきっかけに、ピアノ演奏の脳と身体の働きを研究することになったようです。

なぜピアニストの指はあれだけ速く動くのか、なぜ左右の手で別々の動きができるのか、なぜ各指が独立して動くのか、なぜあれだけ多くの音符を覚えることができるかなどなど、そういった疑問に対する研究結果や考察が紹介されています。

研究結果の資料も豊富に掲載されていますので、「なるほど」と納得させられる部分も多くありました。

個人的に興味深かったのが、子供のころからピアノを始めた人の方がやはり「指を速く動かす」「左右の手を器用に動かす」という点で優位性があるようです。

ただ、大人からでも十分に発展させることができるようなので、「もう年だから・・・」は言い訳にはなりません。

こういうことは言語(外国語)習得についても同様のことが言えるかもしれません。

またこの本の中では「ピアニストの故障」についても言及されています。

故障しないための工夫や演奏スキルについての考察がありますので、現在ピアノ指導されている先生にもお勧めできるのではないでしょうか?

『天才たちの日課』メイソン・カリー著 [オススメ!]

『天才たちの日課』メイソン・カリー著

天才(クリエイティブな人)は1日をどのように過ごしているか?について興味はないでしょうか?

こちらの本はそういった天才たちの日課(1日のスケジュール)を知ることができる興味深い本です。

掲載されている人は、作家、建築家、画家、作曲家、詩人、学者などなど合計161人で、日本からは唯一村上春樹さんが掲載されています。

何となく天才は気ままに起きて、気ままに仕事(創作・発明等)を行って、気ままに寝るというイメージでしたが、この本を読んで案外毎日決まった時間に行動しているんだなということがよくわかりました。

また、意外にも朝型人間(早起きの人)も多いことにも驚かされました。

もちろん、昼頃に起きたり、仕事にとりかかるまでに時間がかかる、先延ばしグセがあるという人もいました。むしろこういう人の方が人間臭くて、親しみを持てました。

日中は事務等で働きながら、その仕事の後に創作活動を行っているという方もいて、今現実にサラリーマンで働きながら創作活動を行っているという人には勇気が持てるかもしれません。

日課の内容については手紙や日記、インタビュー等、割とウラを取っているようなので、ある程度は信頼に値する内容だと思います。

今現実に創作活動を行っている人にとっては参考になることが多いと思いますし、単なる興味として天才たちの「人間味」を知ることもできる良い機会になるだろうと思います。

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『メロディがひらめくとき』黒田隆憲著

『メロディがひらめくとき』黒田隆憲著

作曲の方法や手順は人によって千差万別ですが、実際にアーティストとして活動されている方はどのようにして作曲しているのか気になるのではないでしょうか?

こちらの本は、16人のアーティストに実際にインタビューしたもので、音楽に触れるきっかけや作曲方法・手順等について紹介されています。会話形式なので、読みやすさも感じられます。

ここで紹介されているアーティストは、ダンスミュージック系の方が多いように感じましたが、音楽の作り方という点に関してはジャンルを問わず参考になるのではないかと思います。

メロディから作る方、コード進行から作る方、コードとメロディが同時進行になる方、リズム(ドラム)から作る方様々ですし、同じ人でも手順がその時によって変わるという場合もあるようです。

ですので、あまり自分は「こうする」と決めず、その時その時の方法で作ればよいということがわかります。

紹介されているアーティストの中には、日記を書くようにその日その日にメロディを書き留めている方、1週間に1曲は作るようにしている方などストイックな方がいる一方で、アイディアが浮かぶまでは作曲に取り掛からない方もいらっしゃいます。

音楽を作り続けていると、やはり「やらなきゃ」という意識が先行してしまって(特にアーティストとして活動されている方はより一層そういう意識が強いと思いますが)、作曲を始めたころのような楽しさみたいなものが薄れてきます。

ですので、アーティストの方も「やらなきゃ」という気持ちではなく、「作りたい」という気持ちを保てる工夫をされているのだなということがよくわかりました。

作曲をし続けてなんとなくマンネリになってしまったという方は、一つの参考としてお勧めできる本です。

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